Mr.FPの日々のコラムです。
ライフプランは住宅や教育のためだけじゃない!
一生をこだわって生き抜く羅針盤
厚生労働省の集計によると、9月1日現在、日本の100歳以上の人口は6万7,824人。前年から2,132人増え、47年連続で増加しているそうです。ファイナンシャルプランナーがお客様の将来の収支を分析するとき、よく「99歳まで」のキャッシュフロー表を作ります。「99歳までみておけばまず大丈夫」、裏を返せば「100歳までは生きないだろう」ということが共通認識としてあるわけですが、そうともいえない状況になってきました。いまや「99歳までしか生きないなんて失礼な!」とお客様にお叱りを受けるかもしれません。
そんな長生きの時代を見据えてか、最近、企業で社員向けにライフプランセミナーを行いたいというニーズが増えています。人事の方に話を聞くと、年金についての知識や医療・介護についての備え、少しでも有利な資産運用はどうしたらよいか等々、盛り沢山な要望があがってきます。
それがライフプランなのでしょうか。インフレになっても増えそうもない年金収入、きっとこの先増えるであろう医療費など仕方のない出費、ローリスク・ハイリターンの金融商品など存在しない資産運用、これら厳しい現実を直視することで将来設計のきっかけになればよいですが、本来は順番が逆です。夢や希望があってこそのライフプランです。生活を守るためという発想ではなく、積極的に楽しく生きるためにどうやって資金を捻出するか、やりたいことを実現するための前向きな資金計画を考えたいです。
60歳の人の平均余命は男性23.67年、女性28.91年です。それを長いと思うか、短いととらえるのかは人それぞれでしょう。余生というにはあまりにも長い60歳以降の時間をどのように過ごすか、個人個人が決める時代です。
それまでの人生はほぼやるべきことが決められていました。年齢に応じて学校に通い、卒業したら仕事に就いて働くのが当たり前。仕事や子育てなど目の前にはやらなくてはいけないことが山積みで、自分が何をしたいかを考える余裕などありません。定年後は少なくとも「働くのが当たり前」という社会通念からは解放されます。仕事をするのか、どれくらい働くか、自分で決めていいのです。自ら選択することに慣れていない人にとって、自分で決めなくてはいけないという状況はむしろ大変かもしれません。だからこそ、早めに考えて準備しておくことが肝要なのです。
「住宅ローンも終わったし子どもも独立したから、もうライフプランなんて関係ない」というご意見もいただきますが、それは大きな誤解です。自由な時間が増えるほどライフプランが必要になります。誰でも定年後の24時間をどう使うか、日々の行動計画を考えるはずです。その積み重ねがライフプランです。
大きなライフイベントは思いつかないという方は、これからの暮らしを思い描いてみてください。食材は有機栽培の野菜がいい、最新の家電製品を揃えたい、ペットを大事にしたい、新たに習い事を始めたい、シニアボランティアをしたい…。ちょっとしたこだわりがあったりしませんか。自分のこだわりを大切にする暮らし方を実現するための資金計画、それは立派なライフプランです。
FPはお金の専門家ですが、お金だけの専門家ではありません。生活の中でお金が絡まないことはほとんどないといっていいでしょう。一人一人、自分にとって大事なことは違うはずです。その背景からじっくりとお話を聞き、一緒にライフプランをつくりあげていくのがFPの仕事です。「これはFPに相談していいのかな?」と迷うような場合も、ぜひお気軽にFPにお声掛けください。 (ミスターFP事務局)
世界の潮流が変わる、 日本の骨組みも大きく変わる
2017年9月12日の日経電子版の記事によると、『国連安全保障理事会は11日夕(日本時間12日朝)、北朝鮮への追加制裁決議を全会一致で採択し、原油輸出に現状維持の上限を設けた。採決前夜まで続けた交渉で中ロの合意を取り付け、結束を優先した。追加制裁で北朝鮮への石油関連製品の輸出を3割削減するほか、繊維製品の輸入禁止で、従来の制裁と合わせて北朝鮮からの輸出の9割強を断つ」とのこと。
翌日、安倍晋三首相は、日本経済新聞のインタビューに応じ、今後の社会保障政策についてこれまでの高齢者中心から「全世代型」に見直す意向を表明した。そのための施策として幼児教育の無償化などを挙げ、財源として教育に使途を限定して国債を発行する「教育国債」も検討する考えを強調。
首相はデフレ脱却の目安について「物価目標が2%を超えて日銀が安定的に推移していくという確信を持った段階になることが大切だ」とし、現在の2%という物価目標を堅持する考えを示した。
核・ミサイル開発を進める北朝鮮情勢では、北朝鮮が核開発プログラムを放棄することが対話の条件だとの見解を示した。
また金融庁に関しては、「10月から、仮想通貨取引所の監視に乗り出す。司令塔となる『仮想通貨モニタリング長』ポストを設け30人規模の専門チームを設置し、現在、登録業者の審査を進めている。仮想通貨の会計ルールをめぐる議論も並行して進む。仮想通貨の仕組みを使って資金調達するICO(イニシャル・コイン・オファリング)への対応なども含め、急速に広がる仮想通貨市場の監視と育成の両立をめざす」といったニュースも発表された。
一方ドイツでは、フランクフルト国際自動車ショーが12日開幕。欧州最大手、独フォルクスワーゲン(VW)は約300ある全車種に電気自動車(EV)かハイブリッド車(HV)のモデルをそろえることを表明した。ガソリン・ディーゼル車禁止の方針を打ち出す国が増えるなか、EVが主役になる時代の到来を印象づけた。
北朝鮮制裁に対し、中ロを含めた全会一致での制裁決議はアメリカの保護主義に始まった世界の不安な動きに一石を投じ、全世界が歩調を合わせることも決して不可能ではないということを証明した。同時に各自動車メーカーのEV化は中国も巻き込み世界の環境問題の統一へ大きく前進した。そして高齢化社会の第一人者である日本は、高齢者優遇の政策から思い切りハンドルを切り直す方向に進もうとしている。
我々ファイナンシャルプランナーに課されたミッションは、お客様の資産を守り続ける事に尽きる。そのためには、よりグローバルな視点で変化する環境を捉えることが必要だ。ファイナンシャルプランナーの真の実力が問われる時代が訪れている。 井上 昇( ㈱VLIP 代表取締役、CFP® )
存在感を増すファイナンシャルプランナー
スカラシップ・アドバイザーの活躍に期待!
進学を控えた高校生とその保護者に奨学金に関する情報を提供する「スカラシップ・アドバイザー」として、ファイナンシャルプランナーが国の政策の中で大きな役割を担うことになりました。奨学金の大部分を占める貸与型の奨学金は、子どもたち本人が社会に出る前から負債を抱えるものです。その重さと人生における大学・専門学校等への進学の意味を子どもたちに理解してもらうためにはライフプランの視点が必要だということで、ファイナンシャルプランナーに白羽の矢が立ったようです。
奨学金というと優秀な苦学生のイメージがありましたが、いまや日本学生支援機構(旧・日本育英会)の奨学金を借りているのは大学生・短大生の2.6人に1人(2015年度調査)、ごく普通の学生さんも利用しています。一方で、大学卒業後も安定した収入が得られる職に就けず、奨学金を返せなくなってしまう人も増えており、問題視されるようになりました。
そこで2017年度から、日本学生支援機構では返さなくてよい給付型の奨学金を始めたほか、無利子で貸与する奨学金の枠を増やしたり成績基準を緩和したりして借りやすくしました。合わせて、卒業後の所得に連動した返還方式の導入など返還負担を軽減する制度も設けました。これらのPRのためにFP資格者をスカラシップ・アドバイザーという肩書で組織化し、奨学金について最新情報と正しい認識を広めようというのです。
スカラシップ・アドバイザーの役割は、奨学金を中心に進学資金に対するアドバイスを行うことです。①お金がないことを理由に進学をあきらめる必要はないこと、②とはいえ奨学金という負債を負う意味を理解して勉学に励むこと、③めいっぱい借りるのではなく必要な金額だけ借りること、④将来返還が苦しくなったら延滞する前に相談することなど、伝えなければいけない内容はたくさんあります。
この事業の推進にファイナンシャルプランナー(FP)が起用されたことで、FPが子どもたちに直接ライフプランの重要性を語りかける機会が増えます。テーマは奨学金と進学費用ですが、進学費用の大きさや奨学金制度を知ることを通じて、子どもたちがお金と人生について考えるきっかけになることは間違いありません。漠然と「ライフプランを考えよう」と言っても響きませんが、進学という差し迫った問題を引き合いに出すことで、自分の問題として実感できるのではないでしょうか。高校生のうちからライフプランの考え方に触れることは、金融経済知識の普及の面でも大きな効果が期待できると思われます。
進学問題を保護者任せにせず、奨学金を活用して自分の将来のために自分の意思で目的を持って進路を選択する子どもたちが増えるとしたら、とても素晴らしいことだと思います。個人が自分の望む人生(ライフプラン)を実現するためには資金が必要です。それをどのように稼いだり調達したりするか、長期的な視野で考えるのがファイナンシャルプランで、その成果物がライフプランです。もちろん高校生の時点のライフプランは変化していくでしょう。しかし、社会に出る前から自立した自分のライフプランを意識することで、その後の生き方が変わってくるはずです。今の高校生が家庭を持つ頃には、顧問のファイナンシャルプランナーを持つことが当たり前になるかもしれません。
※奨学金制度の詳細は独立行政法人日本学生支援機構(http://www.jasso.go.jp/)
(ミスターFP事務局)
“20代の保険って・・・” 漠然とした不安で保険に入っていませんか?
最近ぼんやりテレビを見ていたら、アイドル対ロボットアームの将棋対局にからませて20歳代の生命保険の必要性を訴える内容のCMがあったので、少々びっくりしました。
まずアイドル、「先手、病気の際の入院費~」。ロボットアームは入院保障のコマで応戦。その後(実際にはプロに勝っている)ロボットアームが、アイドルが次々にくりだす食費や光熱費などの手で打ち負かされていきます。従来型の入院保障だけでは20代のリスクをカバーしきれないと言いたいようです。
ご覧になった方も多いと思いますが、これを見ていると、「よくわからないけど何もしないのはよくないのではないか」と不安を感じさせます。いや、よくできています。さすが(笑)。
4月からスタートしたこのCM、まだ右も左もよくわかっていない新入社員に向けて、でしょうか。なんてエラそうに言っている私も30年前、“給料の1割が保険料”とだけ考えて“セイホのおばちゃん“の言われるままに保険に加入したのですが。
商品内容を少し詳しく見てみましょう。
例えば25歳の男性が加入すると、毎月の保険料は1万1,107円。これを10年間払い込むと、35歳まで合計133万円ほど払います。(\11,107×12カ月×10年 = \1,332,840)
これに対して保障内容は、
・病気・ケガで入院 1日目~60日目 日額1万円 最大 60万円 ・“所定の生活習慣病”で入院した場合 上記が2倍となり 120万円 ・手術について 入院中の手術20万円、外来手術5万円 計25万円 ・死亡・高度障害などの保障 所定のガン、心筋梗塞、脳卒中、所定の要介護状態、所定の高度障害状態で最大一時金 で 2,101万円 死亡も同じ 2,101万円 |
具体的には例えば、盲腸なんかで入院して1週間入院したら27万円くらい出ます。でもあくまで133万円払ううちの27万円です。“所定の生活習慣病”になって60日間入院すれば、ようやく120万円支給されます。一番“お得”なのは“所定の高度障害”になるか死亡すると2,100万円ほど出ますが、今度は独身だとムダ、逆に家族がいればこれでは恐らく到底不足です。
そもそも20代、月1万円なら保険料よりスポーツジムなど、健康増進に使った方がよいと考えますが、いかがでしょうか。
「保険は不幸の宝くじ」、なんていう言い方があります。そもそもライフプランがあって、金銭的不足を補うために保険が必要になるのです。20代の保険のお話をしましたが、本当に保険が必要か、どんな保険がいくら必要か、一人一人違うはずです。漠然とした不安で保険に入っていませんか。ライフプランをつくると、不安の正体がはっきりして数字で把握できるようになります。
皆様、保険に加入されるときは必ず担当FPに相談なさってくださいね。
城戸FP事務所 城戸 祐治
高齢化社会の在り方
高齢者は「支える側」か「支えられる側」か ~若手官僚の報告書
経済産業省の若手官僚がまとめた報告書がインターネット上で話題になっている。「不安な個人、立ちすくむ国家」と題した65ページの報告書は、20~30代の若手官僚が有識者との意見交換や文献調査を踏まえてとりまとめたものだ。
http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf
※5月18日の産業構造審議会(経済産業相の諮問機関)に提出された。
要約すると、「現在の社会システムは1960年代の日本社会を前提につくられた。したがって過去の仕組みに引きずられた既得権や固定観念が改革を阻み、現代の多様化する価値観が十分に反映されていない」と分析している。
高齢者に過度に配慮するシルバー民主主義の変革も求めている。「『シルバー民主主義』を背景に大胆な改革は困難と思い込み、誰もが本質的な課題から逃げている」とし、高齢者に偏重した予算配分を見直して子どもや教育への予算を優先的に確保するように提案。限界を迎えつつある社会保障制度に対しても「高齢者が支えられる側から支える側へと転換するような社会を作り上げる必要がある」と指摘している。
インターネット上で賛否両論が流れている。こうした声に共感した若い世代がFacebookに投稿する一方、逆に「高齢者も働けというメッセージが強く打ち出された資料」との批判の声も・・・・・。
なお、報告書は「高齢者が社会を支える側に回れるかは、日本が少子高齢化を克服できるかの最後のチャンス」と警告し、結んでいる。
非常に興味深い報告書である。発想の転換、イノベーションとでもいうのか「ハッ」とさせられる。高齢化社会のあり方を世界に対して提示できるかもしれない。高齢化社会の最先端にいる日本のミッションはこの問題をいかに解決するかであると考える。
ファイナンシャル・プランナー(私のところ)に相談に来る若い方は、自分のキャリアに対する夢や希望はほとんどない。「住宅が購入できるか?」「年金で生活していけるか?」という生活困窮相談がほとんどである。電車の中の若いカップルの話は30年も先の年金のことが話題である。もっと元気の出る話題がないのかといつも寂しい気持ちになる。
支える側と支えられる側という発想を越え、さらに年代も越えて、支える能力のある方は積極的に支える側になり、諸事情(体力的、加齢等々)により支えられる立場になった方は素直に受け入れられる環境を作り上げたいものである。
話はかわるが、「私は100億円の財産を残したいがどうすればいいか」と相談に来た新社会人がいた。どうしたら100億円の財産を築きあげられるか、難問ではあるが(基本的に不可能と思った)、相談者と二人で真剣に考えた事がある。「社長になる」「稼ぎの良い伴侶を見つける」等々、面白いように案は浮かんでくる。
こんな若者の顧問FPを目指している年金受給FP、それが私です。
井上 昇( ㈱VLIP 代表取締役、CFP® )
Fiduciary Duty
フィデューシャリー(受託者)が負う様々なデューティ(責任)
2017年4月、金融庁の森長官が日本証券アナリスト協会のセミナーで「日本の資産運用業界への期待」と題して基調講演を行っている。
「企業が顧客のニーズに応える良質な商品・サービスを提供し続けることが、信頼に基づく顧客基盤を強固なものにし、供給者である企業の価値向上につながることは、金融機関のみならず、およそ全ての企業に当てはまる原則だと思います」
上記に続いて、資産運用の分野でも顧客に成功体験を与え続けることが、金融機関の評価を高め、顧客、金融機関双方の価値を創造していくことが経済や市場の発展につながるとし、ある思想家の書籍を引用して、個人が投資で成功するための秘訣として以下の項目を挙げている。
【個人投資家の成功秘訣】
・ゆっくりと、しかし確実にお金を貯める秘訣は再投資(複利)と認識する
・市場の値上がり、値下がりを気にかけず、一定額をこつこつと投資する
・資産タイプの分散を出来るだけ図る
・市場全体に投資するコストの低い「インデックスファンド」を選ぶ
ここまで来て読むのをやめた。Fiduciary Dutyを欠いて商品販売に走る金融機関の叱正と、来年1月からの積立NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)の推奨をしているだけだと感じたからだ。個人投資家は眼中にない。
当然といえば当然。金融庁のミッションは、我が国経済の再生と活性化のために、不良債権問題を解決して、構造改革を支える強固な金融システムを構築することであり、そのために必要なのが「貯蓄から投資へ」という言わば経済の動脈となる資金の流れである。
http://www.fsa.go.jp/common/about/fsainfo.html(金融庁について)
長年FP相談を受けてきた経験から、お客様は千差万別、FPに期待する Fiduciary Dutyは天と地ほどの差があると言っていい。ある方は感謝感激でも、ある方にとっては、全く痒いところに手が届いていないということがしばしばある。
我々FPはFiduciary Dutyを金融庁のように掲げるだけでは何の意味もない。
個々のお客様がFPに望むFiduciary Dutyは何かをそれぞれ検討し、責任を持ってその役割を果たすことが大切になる。
そこで、FPのお客様である皆さんに提案したい。ご自分が担当FPに望む「委託者としての権利」を主張してみては如何だろう。お客様がFPに何を望むのかが明確になることで、新しいクリアな関係が構築されるかもしれない。
井上 昇( ㈱VLIP 代表取締役、CFP® )
パートの働き方、新たに106万円の壁出現
私はどう働けば一番有利?
パートで働く主婦にはその年収よって、「税金がかかる」「自ら社会保険料を払う」といった節目があります。皆さんもよく御存じの「103万円・130万円の壁」です。そして新たに2016年10月より「106万円の壁」ができました。
103万円、106万円、130万円など、パートで働く場合に「壁」で損をしない働き方について整理してみましょう。
まず主婦がパートで働く場合のポイントは「配偶者控除」の適用があるかないかです。
配偶者控除とは一定の所得以下の配偶者がいる世帯には課税所得を控除するというものです。妻が年収103万円以下なら、夫の所得から38万円が控除され、夫の所得税や住民税が少なくなります。このため多くの主婦が仕事を制限して働いていると言われています。
★103万円の壁とは何でしょうか?
103万円の壁は「税金の壁」と言われています。年収103万円を超えると、前述したように夫が配偶者控除を受けられなくなることに加え、妻本人の収入にも住民税(住民税の壁は100万円)と所得税がかかってくるのです。とはいってもあくまで超える部分に税金がかかるので、あまり大きな影響はないといっていいでしょう。
★それでは130万円の壁とは?
130万円の壁は「社会保険の壁」です。パート年収が130万円を超えると、夫の扶養を外れ、公的年金や健康保険などの社会保険料を支払わなければならなくなります。これは大きな手取り収入ダウンになるため、103万円より130万円を超えないように働いている方が多く見受けられます。
★新たな106万円の壁とは?
2016年10月よりパート、アルバイトなどの短時間労働者に対する厚生年金(社会保険)適用基準が引き下げられました。これにより一部の人にとっては130万円の壁が106万円に変更され、新たな壁の出現となったのです。
具体的には以下の4項目をすべて満たすと社会保険に加入することになります。
①年収106万円(月収8万8000円)以上 ②労働時間が週20時間以上
③従業員が501人以上の企業 ④勤務期間1年以上(見込み)
つまり、今回のこの制度は1年以上働いた大企業のパートが対象であり、実際には25万人ほどといわれています。上記4項目に該当するパートの方は年収106万円以上であれば、社会保険料が16万円ほど発生し、その分手取りが減少することになります。該当しない方は、今まで通り働いて問題はありません。
106万円の壁を超えても今の手取り年収を維持するためにはどうすればいいのでしょうか。
現在、年収106万~130万円の方は年間約20万~30万円程度多く稼げば現在の手取り金額を維持できると言われています。多くの方は家計を直撃する社会保険料負担は家計の圧迫と考えがちですが、長い目で見れば65歳以降、終身受給できる年金が増えることになり、大きなメリットがあることは疑う余地もありません。将来を見据えて、今より少し多く働いて可処分所得を増やすことも視野に入れてみてはいかがでしょうか?
目先の損得にとらわれずに長期の家計生活プランを見通した検討が大切になってきますね。
オフィスあみの 代表 網野 俊
「相続対策」よりも【長生き対策】
昨年英国で出版されて、日本でも話題になった『ライフ・シフト』という本を読みました。本の中では、今後ますます長寿化が進む中で人生平均100年時代が到来するという前提で話が展開されていきます。
私は仕事柄、リタイアした方々の資産運用の相談を受けることが多いのですが、「どの程度の年齢まで生きる前提で生活設計をしておいたら良いですか?」と質問された際には、これまでは「男性であれば90歳、女性であれば100歳程度の生活設計を検討してください」とお答えしていました。
しかし、この本によると【平均100歳】時代がもうすぐ来るというではありませんか。【平均100歳】ということは、実際に半分の方が100歳以上の年齢に達するということになります。すると今後のリタイアメントにおいては110歳程度まで生きることを前提に生活設計を組み立てていかなければならなくなりそうです。
こうなると、現在リタイアメントを考えている世代( 60代)では次のようなことを想定しておくべきでしょう。
◯60代でリタイアするのではなく、健康であれば70代、80代でも積極的に社会にかかわり働く必要がある
◯しかし、嫌いな仕事では長く働けないので、自分の好きな分野で人と社会の役に立つ活動を行って収入を得ていく必要がある
◯(特に日本人は)保有している不動産や金融資産について活用していく必要がある
◯110歳程度の寿命を前提にリタイアメント資金の計画を設計する必要がある
どうでしょうか?皆さんの考えておられたリタイアメントの常識が大きく変化す
る時代がやってきそうです。
ご自身が110歳まで長生きすることを想定して、いかに残された【長い】時間を過ごすのか、ゆっくり考えてみてはいかがでしょうか?
これからの長寿化社会では、国の用意している社会保障制度だけでは行き届かなくなることが容易に想像されます。まずは「健康で長く働けること」、「保有している資産を活用すること」などをFPに相談して解決策を探るところから始めていただくと良いと思います。
これからの時代は相続対策よりも皆さん自身の長生き対策の方がずっと大切なテーマとしてあがってくるような気がします。
株式会社マネーライフプランニング 小屋 洋一
iDeCoでしっかり 自分年金作り!
2016年5月に「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」が成立し、本年1月1日より自営業者や企業年金のない企業に勤めている会社員にしか加入が認められていなかった個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo)が、企業年金のある会社に勤める会社員や公務員、主婦(主夫)も加入できるようになりました。
このことにより、実質的に現役世代の誰もがiDeCoに加入できる事になりました。
この背景には公的年金の「支給額の引き下げ」や「支給開始年齢の引き上げ」などの支給水準の縮小が見込まれる中、自助努力による老後資産準備の重要性が高まっている事が伺えます。つまりiDeCoは自分で入り、自分で増やす、もうひとつの私的年金なのです。
iDeCoの最大のメリットは掛金全額が所得税・住民税の対象から除かれる所得控除。
例えば会社員の上限である年間276,000円を拠出すると、課税所得500万円(所得税20%、住民税10%の場合)の人では年82,800円節税になります。運用期間中は運用益は非課税、原則60歳からの受給時も一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金控除の対象となります。
もちろんデメリットもあります。60歳まで中途の引き出しはできない、運用リスクを負担しなければならない、口座管理手数料がかかる等です。
iDeCoは主に定期預金、保険商品、投資信託などで運用します。申込みは金融機関から行いますが、各金融機関ともiDeCo用の商品のラインナップがありますので、そこから各自選択する事になります。また手数料については、加入時手数料は1回のみですが、運用期間中は運営管理機関(金融機関)などに支払う口座管理手数料、投資信託の運用にかかる信託報酬などがかかります。手数料は運営管理機関(金融機関)によって違いがあります。わずかな手数料の差でも、長い間には受け取る金額に大きな差が生じてしまいますし、運営管理機関(金融機関)は原則変更する事は難しいので特に注意が必要です。
しかし税制優遇を受けながら、老後資金を用意できるという点はとても魅力があります。「やらないともったいない、国の制度」ですが、iDeCoの運用には長い時間が必要です。
60歳以前に起こる「ライフイベント」を考慮し、「いくらなら掛け続けられるのか?」「掛け続けながら○○資金を用意するにはどうしたら良いか?」などをしっかりと確認する事が大切です。
iDeCoの金融機関選び、運用商品選びなどに迷ったら、ぜひファイナンシャルプランナーにご相談ください。
FPミモザ 田代 美由紀
銀行がファイナンシャルプラニング業に本格参入する時代
明けましておめでとうございます。
とうとうトランプさんが大統領になるわけですが、それに伴い株式市場にはトランプ相場と呼ばれる上昇相場が現れています。3年前の2014年1月、このFPレターで、私は安倍政権に代わってからの2013年の動きを受け、「これはもしかすると、1990年代のニューヨーク市場のように10年間で3倍の株価になるかもしれない」と書きましたが、「5年で3倍」も見えてきました。
ところで新年、10年ぶりに本を書いています。私は本を書くのは苦手で、結構長い時間を要しますが、しかし、日本のファイナンシャルプランナーの立場でどうしても書いておきたいことがあり、パソコンに向かうことになりました(昔だったら「筆を執りました」と書いたでしょうね)。
私がFPを始めた1983年当時は、銀行の預金金利、貸出金利も規制されており、ましてや金融業界では銀行は銀行業だけ、証券会社は証券業だけ、保険会社は保険業だけと縦割りに規制されていた時代です。それが20年前、日本でも金融ビッグバンが起こり、その後様々な自由化が金融業界で起こってきました。その結果、現在では銀行でファンドを買うことも、保険を買うことも自由にできます。いまや業務多様化の目的で銀行が農業もやろうという時代です。
そこで、銀行にぜひFP業をやってもらいたいと考えています。現在も銀行にファイナンシャルプランナーはいます。それも大勢います。しかしファイナンシャルプラニングはやっていない。ここで、ファイナンシャルプラニング業とは何かを書くと長くなりますので省きますが、要はきちんとコンサルティング料、FPプラン作成料をお客様からいただいてファイナンシャルプラニングを有料でお客様に提供してほしいのです。何故なら、そうすれば銀行でもFP業ができるからです。これはアメリカでは40年前から行われていることですが、日本ではまだ始まっていません。しかし金融業界の規制緩和でその時が来たのです。
どのようにすればお客様が豊かになり喜んでくれ、かつ銀行も儲かり、Win-Winの関係でFP業ができるか。そのとき、我々独立ファイナンシャルプランナーとうまい提携をして我々を活用してもらいたい。そのやり方を提案する本を書いています。
5年後ぐらいには、銀行のファイナンシャルプランナーが、あるいは銀行と提携している独立ファイナンシャルプランナーが、皆様方の顧問FPとして投資、保険、相続など、様々なご相談に乗る時代が訪れているかもしれません。
株式会社FPプラネット 代表取締役 井畑 敏
来年は、「若く、焦らず、じっくりと・・・」
今年も後、残すところ一ヶ月を切りました。どんな一年でしたかと聞かれると、『やり残したことばかりで少し空しい一年でした』と答えてしまいます。
個人的な事はさて置き、世界に目を転じると、中国経済の減速もさることながら、6月23日の「Brexit投票」と11月20日の「米国大統領選」は、大きな政治的波紋を呼び起こしました。リーマンショク時以上に、金融・経済の新しい構造や理論を創り出す事が避けて通れない局面に突入したと思われます。リーマンショックの時もそうでしたが、金融・経済構造や理論の抜本的な組み替えを訴えつつ、結局は元の仕組みへ落ち着いてしまいました。
“政治的発展”と言っていいのか“イデオロギーの変化”と言っていいのかわかりませんが、「Brexit投票」と「米国大統領選」は国民投票による国民の総意が我々外部者の想像を超えてしまった訳です。「Brexit」はユーロとは別の新しい経済と移民問題解決のミッションを英国に与え、「米国大統領選」は各国に米国の保護から自律して生き抜いていくミッションを与えたように思えます。
ともあれ、この環境下世界経済は成長するのか、IMFのホームペジよりGDPに関するデータを拾ってみました。労働者人口の少ない日本と、スタートダッシュに力を入れすぎたトランプ政権下の米国以外は、そこそこの発展を遂げています。言葉を変えると、超高齢化社会の国と、力で全てをねじ曲げようという国は何事もうまくいかないということのようです。
金融・経済の新しい構造と理論が確立するまでは、FPとして現在の基本理論、 “長期分散投資”というポイントをベースにお客様のサービスに当たっていくつもりです。年をとらずに(笑)、焦らず、じっくりと・・・。【ご参考:新興国・先進国の代表国の名目GDP成長率】
米国は2017年ピークを迎えるが、その後毎年減少。2019年から2020年にかけてカナダ、英国に抜かれる。ドイツも2016年から2017年にかけてカナダ、英国に抜かれる。日本は一人我が道を行く。
井上 昇( ㈱VLIP 代表取締役、CFP® )
ファイナンシャルプランナーはプライベートバンカーに勝る?!
最近スイスのプライベートバンク所属の日本人の行員がシンガポールで活躍する小説が出版され、私も早速拝読いたしました。プライベートバンクを舞台とする小説はこれで3冊目ですが、現実に即しているとあってリアリティに富み、なかなか面白かったです。
大金持ち向けの特別なサービスを提供するとされるプライベートバンク。その昔戦争ばかりやっていたヨーロッパで、貴族をはじめお金持ち向けに資産管理を引き受ければいい商売になると考えた国が、永世中立を誓って国を挙げて推進し発展してきたものです。
そう、スイスです。「戦争お疲れ様です!でも危ないですから資産管理は我々にお任せください!」ってことですね。
第二次大戦後はグローバル化の波に乗り、世界中のお金持ちに世界中のタックスヘイブンを使って複雑なスキームの節税サービスも行うようになりました。“戦争”ではなく“徴税”から資産を守るというわけです。半年ほど前に話題になったパナマ文書は、まさにこの節税スキームの一部が記載されているといわれています(スイスの銀行法は長年顧客の守秘義務を定めていましたが、近年のテロ多発に伴い最近犯罪に関する情報だけは開示するようになっています)。
運用面は、どちらかといえば“守る”のがメインなため手堅い物が多いようです。他にも手厚いサービスも受けることができ、子息の結婚相手探しなんていうのもあるようです。預かり資産の数パーセントを毎年口座管理手数料として払っているのですから、それも当然かもしれません。
ところで我々ファイナンシャルプランナーも、クライアントである皆様に様々なアドバイスをさせていただいています。
例えば“節税”であれば医療費控除などごく基本的な事柄から、最近ではサラリーマンの方で確定拠出型年金での“マッチング拠出”の活用。相続対策としての収益物件の取得や相続時精算課税制度などの活用もあります。運用面なら当然リスクはありますが、まだまだ高利回りの期待できる投資や、お望みなら我々の仲間の中には投資顧問業として登録している者もおります。海外での資産運用もご紹介可能です。ご子息の結婚相手探しは…お約束できませんが、ご縁があればご紹介できるかもしれません(笑)。
シンガポールやスイスにいる銀行員よりもはるかに身近な、しかも日本の実情を熟知したファイナンシャルプランナーがきっとお役に立つと思います。
城戸FP事務所 城戸 祐治
~熊本からのFPレポート~
震災への「備えあれば憂いなし』の『備え』とは?
ご存知の通り熊本は4月に2度の震度7の地震と約2,000回に及ぶ余震を経験しました。現在も復興半ばの状況です。テレビや雑誌などは「備えあれば憂いなし」とばかりに震災への「備え」を呼びかけています。
確かに備えておいた方がいいものはたくさんあります。しかし、実際に震度7の地震が来たらどうか。それはもうパニックです。家はミシミシと揺れ、戸棚に入っている食器や皿類はガシャンという音とともに落ち、割れて粉々になります。実際に体験すると、この状況下では「何を備えておくのか」より「何をすればいいのか」を知っておく方がはるかに大事だということを思い知らされます。
これからの話は、熊本の震災の時にFPである私は何をしたのかの経験談です。
4月14日夜9時半頃、それは突然来ました。今まで経験したことがないようなものすごいレベルの揺れ。食器やコップなどは戸棚から飛び出して割れ、後で屋根を見たら瓦がずれていました。
まず、被害状況を一通り確認しました。テレビで見る益城地区はこの段階ですごい被害が出ていましたが、私が住む北区やオフィスがある中央区は大した被害ではありませんでした。
被害確認後、素早く行動を開始しました。この時はそれこそ「備えあれば憂いなし」というくらいの気持ちで、まさか役に立つとは思ってもいませんでした。ですが2回目の震度7、しかも1度目とは比較できないくらい大きい震度7が来てしまいました
1回目の地震後に準備したことで2回目の地震の時に役に立ったのはこの7つでした
①家中の戸棚の扉が開かないように紐で縛る ②2台の車のガソリンを満タンにする
③水、お茶、パン、おにぎりなどの食料を購入 ④コンビニでお金を少し多めに用意する
⑤寝る時に逃げる時に備えて持っていくものを一カ所におく ⑥懐中電灯を枕元に置いて寝る
⑦靴下を履いて寝る
①~⑥については説明は要らないでしょう。⑦は4月という夜はまだ肌寒い季節、外に逃げる時に寒さをしのぐために有効でした。もう1つは怪我の防止。ガラスの破片が家中に飛び散っていて裸足では危険なのです。
避難した時は停電しており、家も外も真っ暗。見えない中、外に出るとパリンパリン音がします。なんと屋根瓦が落ちて割れる音でした。いったん外に逃げたものの寒さに耐えかね、震度6レベルの余震の最中に家に戻って暗闇の中でジャンバーなどの上着を持ち出しました。これも準備しておけばよかったと思いました。
こうして家族で車に乗りスーパーの駐車場に避難して3日間を過ごしました。
パニックの中で多くのことを考えるのは無理です。実際に震度7の地震が来るとどんなに物を備えていても無用の長物になる可能性があります。震災が来たら何をしたらいいのか。これを頭の中に入れておくことが一番備えるべきことです。とはいえ、あんな怖い思いは2度と経験したくないのは言うまでもありません。
永野 修(CFP/㈱FPフェアトレー・ジャパン)
FP One Point 生活再建のために重要な「罹災証明書」
罹災証明書とは、地震や風水害等の災害により被災した住家等の被害の程度を市町村が証明するもので、各種被災者支援策の判断材料として活用されます。『全壊』『大規模半壊』『半壊』『一部損壊』の4区分があり、そのうち各種支援が受けられるのは『半壊』以上となります。市役所など取得する際、「一部損壊」であればその場で発行してくれますが、「一部損壊」では支援が受けられません。時間がかかってもしっかり調査してもらうことが重要です。
なぜ日本の金融機関はFPを活用できないのか
いま、久しぶりにファイナンシャルプランニング(FP)に関する本を書こうとしています。私は本を書くのは苦手で、あの多くの時間を費やす作業はくたびれます。ただ、「やはりこれは言いたい、これだけは書いておきたい」と思うことがあり、最後の本を書こうとしています。
日本のFPは銀行、証券、保険など日本の金融機関が後押ししてくれました。1987年に日本FP協会が設立され、現在のAFP資格制度が始まりましたが、FP協会会員(AFP)が1000人を超えるのに3年かかりました。それが1997年、日本版金融ビッグバンが始まり金融機関によるFPブームが起こると、それまで10年かけてやっと1万人になったAFP(CFP含む)が5年余りで10万人を超えたのです。
このように、金融機関はFP業界に大きな貢献をしてくれましたが、実際にFPが金融業界に貢献しているかというと、残念ながらまだ限定的な範囲で、本当の貢献はしていません。もう10年ほど前になりますが、あるメガバンクの教育部長が私に「うちにはCFPが1000人以上いるが何の役にも立っていない、なんとか彼らを再教育して役に立つようにできないか」と言ってきました。それは屋上屋を重ねるのと同じで、無意味です。それは何故か、そしてどうすれば良いのかを、本に書こうと思っています。アメリカで、オーストラリアで出来ている金融機関のFP、それは金融機関の業績に密着しています。一方、日本では社員教育の域を出ていません。
いま、日本で一番FPを活用し業績に結び付けることができるのは銀行でしょう。銀行では預金、ローンだけでなく証券も保険も販売されます。これらを、FP活動を通して業績に結び付けられるかどうか、それはFPの教育、知識ではなく、FPの6ステップを実践できるかどうかです。
ここでは、紙面が足りませんので、詳しく説明できませんが、金融機関がFP活動をする、すなわちFPの6ステップを踏むには金融商品を売ってはダメです。FPの6ステップを踏むためには“FPサービス”を売らなければいけません。「ライフプラン設計3万円」、「住宅資金設計2万円」、「相続設計5万円」と価格を付けて販売するのです。そのためには特別な営業部隊、FP営業部隊を作る必要があります。
以前、三井生命がアメリカで有名なFP会社、アメックスと組みFP部門を作り、サービスを始めました。しかし見事に失敗しました。それは“FPサービスを販売する”という意識がなかったからです。FPサービスは無料で、販売したのは生命保険でした。これではFPの6ステップは踏めないのです。
今度この内容を本に書こうと思っています。これは単に金融機関のためというわけではありません。金融機関が“FPサービス”を販売するようになれば、生活者の皆さんにとってファイナンシャルプランニングがぐんと身近なものになるはずです。日本にFPを根付かせるために金融機関の力を借りたいのです。かつて金融機関がFP資格を広めてくれたように、本気でFPサービス導入に取り組んでほしいと願っています。
Mr.FP Professionals 代表
株式会社エフピープラネット 代表取締役 井畑 敏
人生の資金設計は、ますます“自己責任”の時代へ
少し前のことですが、4月29日に「政府が、2023年で終了する予定のNISA制度を恒久化する検討を始めた」という報道がありました。非課税期間が恒久化されるのはうれしいことですが、ちょっと考えてみましょう。
ただでさえ税収がほしい国が、なぜ私たちに運用利益に対して非課税にしてくれるのでしょうか? しかも恒久的に・・・。
経済の高度成長期を主役で生きてきた人たちは、頑張って働いていれば、預貯金と退職金と公的年金で、老後を豊かに暮らすことができる世代。会社や国が老後の生活を十分にケアしてくれていました。
でもこれからの時代はどうでしょうか?
今、現役世代の人たちの老後は、公的年金や退職金の支給額が少なくなることはあっても、今より多くなることは考えにくいのではないでしょうか。お給料は上がらないし、退職金も減らされるし、年金も・・・。
公的年金は、日本よりも財政が健全と言われる、アメリカ、イギリス、ドイツなどの国でさえ、年金支給開始年齢が67歳~68歳に引き上げられることが既に決まっています。イギリスでは年金支給開始の70歳への引き上げも検討されているとか。これらの国よりも日本人のほうが寿命が長いことを考えると、支給開始年齢、支給額は今の水準のままで済むとは思えません。
会社も国も、今までのように社員や国民の老後まで責任をもてなくなりました。
だから企業は、退職金は自己責任で準備するように401Kを導入します。国も、NISAで運用益を非課税にしてその分税収がなくなったとしても、年金予算を増やすよりは、国の予算にとってプラスだと見ているのでしょう。
「国民の皆さん、これからは国も会社も皆さんの老後の面倒をみられません、自己責任の時代ですよ!」
こんなメッセージが聞こえてくるようです。
NISAの恒久化検討ということから私はこんなことを感じました。
でも皆さんには味方になってくれる人がいます。
独立系ファイナンシャルプランナーは、皆さんの立場に立って、一緒に人生のマネープランをつくり、実現のためのサポートをしてくれます。自己責任の時代、ファイナンシャルプランナーを味方につけて、にあなたが望む人生を実現していきましょう。
田辺FPオフィス 田辺浩之
マイナス金利政策〜物価指標や為替相場 異次元緩和前に逆戻り〜
黒田日銀のマイナス金利政策実施後、国内外では色々なことが起きている。個人的には、下記の事象が、どのように各国のあるいは世界の経済成長に影響を及ぼして行くかが興味を引くところである。
マクロ経済学的には 「GDP(国内総生産)=(消費+投資+政府支出)+(輸出—輸入)」ということである。個人的には世界的にこのGDPが増加しているようであればなんら心配することなく積極投資だと考えている。種々の調査機関によると“離脱”は英国の経済成長率を1〜1.5%程引下げるが、新興国が再び成長力を増してきているので世界経済にさほど大きな影響はなさそうである。
11月の米国大統領選挙は、大統領が決まってからの3ヶ月間ほどは金融市場にそれなりのインパクトを与えるであろうが、米国の経済成長には大きな影響はないと見ている。つまるところ、短期的にはブルやベアの商品で荒稼ぎしてみるのも楽しいだろうが、生活の基本となるところは、長期分散投資という基本を守って資金を投下していきたい。
以下は弊社HPを参照してください。 http://www.vlip.jp/#!vlip-weekly-news/mla6q
【日本】
日銀が2013年4月に量的・質的緩和(通称、異次元緩和)を始めた時、の状態に逆戻り。物価関連の指標や為替相場で、そんな動きが目に付くようになってきた。7月28~29日の次回金融政策決定会合に向けて日銀の判断と対応が注目。
【英国】
6月23日、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が実施され、「離脱」支持がわずかに「残留」を上回った。物や人の移動に対しバリケードを築くことになる「離脱」。さらにMoneyの移動にも影響を与える離脱。本当に賢明な選択肢か。国民投票のやり直しを求める声も上がっている中、EUへの正式な離脱申請は先送り。・・・英国のEU離脱は現実となるのか?
【米国】
FBIは大統領選の民主党候補となるヒラリー・クリントン前米国務長官が公務で私用メールを使っていた問題で事情を聴いた。共和党候補となるドナルド・トランプはこれ幸いに批判を強めている。クリントン氏の陣営の発表によると、氏は2日、首都ワシントンのFBI本部で3時間半聴取された。…FBIは5日、刑事訴追の勧告は見送ると発表。大統領選の行方は? トランプ氏 それともクリントン氏?
株式会社VLIP 井上 昇(CFP®)
投資信託をどう選択するか?
〜金融機関は商品の選択をお願いするところではなく、商品情報の収集場所〜
昨年の今頃、飲み友達の女性から「母親がある投資信託を買ったのだが、どんなものか教えて欲しい」というメールが届いた。彼女、超一流大学系列の女子高からその大学を優秀な成績で卒業。頭脳明晰で株式等の投資経験も長い。そんな彼女が「わからない、納得できない、意味不明」とサジを投げてしまい、私へのメールになったわけである。確かに、昨今の投資信託は“複雑怪奇”なスキームの商品が多い。早速、話を聞いてみた。
このお母様、豪華なブースに案内され、まず一声。「配当がたくさん出るものはあるかしら」
担当者曰く「直近のアジアの株価のトレンドは上向きです。〇×戦略に基づいた最低限の収益を確保します…」
孫のような若い担当者が一生懸命、「配当のいい商品は色々ありますが、お客様に合う商品はこれです!」と奨めてくる。
「配当金額が毎月75円は高いし、よくわからないけどしっかり工夫しているみたいだからいいでしょう。娘にも勧めますわ!」
「そこまでお気に召して頂いて嬉しいです。ありがとうございます!よかったです!」
このエピソードから、皆さんにお伝えしたいことがあります。
お母様が購入された投資信託は1年前の基準価額が4,500円、今は2,500円くらい。約2,000円の減額分は、大雑把に言って75円×12カ月=900円の“配当金”として支払われた元本払戻金と、残り約1,100円が運用損です。このままだと、近い将来、分配金も大幅に減額されることが予想されます。
どこに問題があったのでしょうか。お母様の金融機関担当者への依頼は至極当然、金融機関担当者の商品選択は誠意ある行動。最後のお母様の判断が悪かったのだと思います。
投資信託を最初に購入するときには分散投資を考えFPと相談しながら商品を決定していきます。もちろん追加購入時も一緒です。このお母様はご相談するFPを持っていなかった。おそらく、ご自分の投資経験は浅くスキルも十分ではなかったのでしょう。
金融機関で商品を勧められ、判断を迫られた時の為に、ごく簡単に3つ注意点をあげてみます。
①分配金だけでなく基準価格の推移を確認する。
分配金が出ていると運用が上手くいっていると思いがちですが、元本を取り崩して分配している商品もあります。分配金を出しながら基準価格も維持できている商品を選びましょう。分配金を出さずに運用益を再投資するほうが投資効率はいいので、分配金をもらう必要があるかどうかも事前によく考えておきましょう。
②販売手数料、信託報酬、信託財産留保額の率の合計が低いものを選ぶ。
投資信託にかかる手数料は販売手数料だけではありません。販売手数料がゼロでも、運用が続いている間、信託報酬という運用手数料はかかっています。解約時に信託財産留保額という手数料がかかる商品もあります。それぞれの手数料の有無とパーセンテージを確認しましょう。
③複雑なスキームの商品は、その場で理解したつもりでも即決しない。
その場では担当者のペースに乗って、わかったつもりになったり、商品が魅力的に見えたりするものです。持ち帰って、商品内容が理解できているのか、運用方針が本当に自分に合ったものなのか、よく考えてみましょう。
投資信託に限らず、リスク商品を購入される時は、ぜひ信頼のおける担当FPにご相談なさってください。同時にご自分の投資スキルに日々磨きをかけることもお忘れなく。
城戸FP事務所 城戸 祐治
ふるさと納税あれこれ
「ふるさと納税を知っていますか?」と聞かれれば、ほとんどの方は「知っている」と答えるでしょう。では、実際にふるさと納税をやっている人はどれくらいいるのでしょうか。私は、「やったことがある」もしくは「やっている」という人が1~2割程度はいると思っていました。ところが、ふるさと納税の実施者数を示す総務省の寄付金税額控除適用状況は次の表のとおりです。
|
H20年中 |
H21年中 |
H22年中 |
H23年中 |
H24年中 |
H25年中 |
H26年中 |
適用者数(名) |
33,149 |
33,104 |
33,458 |
741,677 |
104,446 |
133,928 |
453,720 |
寄付金額 (百万円) |
7,259 |
6.553 |
6,708 |
64,914 |
13,011 |
14,189 |
34,111 |
H20年からH22年にかけてほぼ3万人強で横ばい。H23年に74万人に大幅増加したのは、東北大地震の発生で多くの方が義援金として寄付されたことがうかがわれます。しかし、翌年には10万人強まで急減、そこからの増加はふるさと納税での返礼品目当ての人々が増えた結果と見られます。ただ、H26年に増えたと言っても全国民の0,3%の方しか実行していません。まだまだ浸透しているとは言えないのではないでしょうか。
そもそも「ふるさと納税」の理念は「ふるさと納税で地方創生」です。地方創生の3つの意義は①納税者が寄付先と使われ方を選択する、②生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域や応援したい地域を支援する、③自治体もふるさと納税に真摯に取り組み地域の在り方を考えるきっかけになる、とされています。
「ふるさと納税の仕組み」をザックリおさらいしましょう。特定の市町村にふるさと納税をします。すると2000円を超える部分について所得税・地方税から一定の上限まで税金が控除されるという仕組みです。また、平成27年1月1日以降実施の分については住民税の特別控除額が1割から2割に変更になりました。この変更は「納税額をもっと増やしても大丈夫ですよ」という国の地方創生施策そのものです。2000円を超える部分について全額控除されるふるさと納税額の目安は、総務省のホームページによると、「年収600万円、子ども2人、妻専業主婦家庭で53,000円」となっています。もっとふるさと納税が出来るという方もおられるでしょう。
さて、これからが本題です。ふるさと納税は、市町村から返礼される特典を目的に行っている方が多いと思います。特典の主なものは①牛肉、米、魚介類、野菜、フルーツなど特産品②ワイン、地ビール、日本酒など③観光特典(温泉宿泊利用券)などです。「ふるさとチョイス」(http://www.furusato-tax.jp/)など、返礼品や使いみち、金額などからきめ細かく検索できるサイトもありますので、興味のある方はアクセスしてみてください。
昨今では自治体間での特典(返礼品)競争が激化してきています。特典の多い自治体に納税額が多く集まり、住民の納税額を大きく上回っているところも多く見かけます。今年度に入り総務省が「ふるさと納税の行き過ぎ自粛を求める」通知を出しました。寄付に対するお礼にパソコンや商品券など特産品とは言い難い品物が出て来たためです。お礼の商品券がネットで売買される事例が散見され、本来の趣旨を逸脱していると言わざるを得ません。「この制度はあくまで寄付であり、対価の提供になるような返礼は控えて欲しい」との考えで総務省が動いたのは明白です。今後の自治体の動向が気になります。
ふるさと納税も制度が始まって9年目、「ふるさと納税で地方創生」という理念にいま一度立ち返るべき時期が訪れているのではないでしょうか。 FPオフィスあみの 代表 網野 俊
住宅はいつでも買い時 住宅業者、金融機関に惑わされるな!
2月に日銀がいわゆる“マイナス金利”を導入して以来、ただでさえ低い住宅ローンの金利がさらに低くなり、金融機関は低金利であることや他の付加価値を大々的に宣伝しています。一方今のところ来年の4月に予定されている消費増税の前に、不動産業者も「家は値上がりする前に!」とこちらも宣伝に余念がありません。
しかし果たして本当に“買い時”なのでしょうか?
かつて金融機関にとって住宅ローンは儲かる商品でした。ところがここ2~3年、貸出金利が1%ぐらいになってからは儲からない商品になりつつあります。金融機関の考え方にもよりますが、不採算の商品をいつまでも売る商売はありません。むしろこれから先、金利が上昇するとなった時に、これ幸いとこれまでの損を取り返すべく一気に金利を上げることだって十分考えられることは、銀行OBとして申し上げておきます(変動金利型を選択した場合には特に注意しておきましょう)。
不動産はどうでしょうか?増税後、新築物件の売り上げは減少が見込まれています。どんな商売でも、売れなければ値下げしないと売れなくなります。しかもこの場合、値下げ幅は「1割ぐらいは当然」と不動産業者は口を揃えます。よって一部の人気物件と、実家の隣地が空いたなどの特別なケースを除いて、慌てて買う必要は全くないと断言できます。
住宅購入は人生最大の買い物と言われます。購入にあたっての留意点は、
1)生活の場所を決める (住むのは家ですが生活するのは地域です。従って戸建てを考えるのに真っ先に住宅展示場へ行くのは個人的には大反対です。)
2)戸建てかマンションか (それぞれにメリットデメリットあり。)
3)必要資金の算定と調達方法 (親の援助の受け方、住宅ローン借入先、住宅ローン特別控除の影響、公的給付金受給の可否など。)
4)子供の将来の教育費、自分たちの老後の資金の検討 (その時になって慌てないようにきちんと考えておきましょう。)
などなどなど、考えておかなければならないことは多岐多様です。
ほとんどの方は毎月毎月返済日がくる住宅ローンに長期に渡って向き合います。ということはきちんと長期的な観点に立って、よくよくよく考えて購入した方が後々のためです。その際にはくれぐれも、(自分たちの成績がかかっているから)一生懸命やってくれる(に決まっている)不動産や住宅の業者や金融機関の担当者に任せるのではなく、皆様の立場に立って一緒に考えてくれるFPに相談すべきであることは言うまでもありません。そうすれば家はいつでも皆様の“買い時”なのです。
城戸FP事務所 城戸 祐治
株式の変動要因 先を読む目
3月2日, 株式市場を動かす特徴的な事例が出たので、研究してみたい。
3月2日の日経平均株価は、661円高の16,746円で終わった。何があったか? 新しい追加施策でも出されたか? ブルームバーグ3/2電子版にはこう書いてある。
「米国の製造業、自動車販売統計の堅調に加え、為替の円安や原油市況の続伸が好感され、リスク資産を見直す動きが活発化した。」具体的には、「①米供給管理協会(ISM)発表の2月の製造業総合景況指数が49.5と昨年9月以来高水準だったこと。②米2月自動車販売台数が2月としては2000年以来の高水準であったこと。③NY原油先物が1.9%高の1バレル=34.40ドルと続伸したこと。④投資家の恐怖心理を示すシカゴ・ボラティリティー指数(VIX)は今年に入り最低水準になったこと。」「為替も、為替回避の動きが後退し、前日の1㌦=112円61銭から113.70円~114.10円で推移した。」結果、「午後には一時日経平均は729円(4.5%)高となり、チャート上は25日移動平均線を大きく上回った。」
さて、日米共に大きな金融財政施策が出されない中で、日経平均が700円も変動するとなるとそのファクターを押さえなくてはならない。
経済指標で最も重視されるのがGDPで、四半期毎に発表される。今回の事例のアメリカではISM製造業景況指数、自動車販売台数、原油価格、VIX指数が挙げられているが、それ以外に重要な指数に、失業率、住宅着工件数などがある。日本では、GDP以外には3ヶ月毎の日銀短観、失業率、鉱工業生産指数、自動車販売台数、機械受注統計、全国消費者物価指数(CPI)や貿易統計などがある。
最近は中国の経済が日本に大きく影響を与える。中国の場合は、統計には意図が入っていることを配慮しておく必要がある。GDP以外に、貿易統計(輸出、輸入)、貿易収支、製造業購買担当者景気指数(CPI)などがある。中国は世界一の外貨保有国だが、‘14/6⇒’15/12の間に6600億ドル(16.6%)減少しており、景気低迷を見る指針にもなっている。
これらファクターは投資家には必須であり、「長期保有・分散投資」と言っているだけではリスクに立ち向かえない。誰でも見られるサイトで、数値だけでなく今後のスケジュールも確認することができるので、紹介しておく。 Yahoo トップページ⇒ 縦のサービス欄の「ファイナンス」⇒ FX/為替⇒ 経済指標
ここには各国の過去~将来の経済指標の発表スケジュールが掲載されている。重要指標の発表や、中央銀行総裁記者会見日前後は必ず市場は動く。原油価格の動向にはOPECや中東のニュースも目を離せない。新聞記事で結果を読み込むだけでなく、先を見る目利きになるため、スケジュールを押さえながら何度も事例研究をしてみよう。
海外投資家の売買動向も株価に大きく影響する。日経によると、昨年日経平均がピークを付けた’15/6(20,868円)から直近まで、海外投資家は11兆円の売り越しだ。一方、年金の買い越しは3兆円。海外の売りが日本の株式市場を下げている直接の要因でもある。よって、毎週木曜日に東証が発表する「投資部門別売買動向」にも継続的に注視が必要となってくる。
最後に、3月の重要日程を押さえておく。3/5から中国で全国人民代表大会、3/14-15日銀金融政策決定会合(マイナス金利幅拡大はあるか)、3/15-16米FOMC委員会(追加利上げはないと見るが如何)。
コバヤシ アセットマネージメント 小林 治行(CFP®)
日銀、初のマイナス金利導入
年初より原油安や新興国の先行き不透明感から、株安・円高が進み、世界的に金融市場が混乱する中、1月29日に衝撃的なニュースが発表になりました。
日本銀行は金融政策決定会合で追加の金融緩和策として「マイナス金利政策」を2月16日から実施すると発表しました。
日銀の黒田総裁の会見要旨は「2%の物価安定目標を早期に実現するため、マイナス金利付量的・質的金融緩和を決めた。量と質にマイナス金利という金利面を追加し、3つの次元で追加緩和が可能となる。」(日経新聞より抜粋)との内容でした。
「マイナス金利」とは銀行が日銀の当座預金に預けるお金のうち、2月16日から新たに預ける分にマイナス0.1%の金利をつけるとのことです。
マイナス金利ではお金を預ける方が金利を支払う事になり、銀行が日銀にお金を預けると預金が減ることになります。ただ今回の決定は銀行が日銀にお金を預ける際に適用するもので、個人や企業の銀行預金の金利をマイナスにするものではありません。
この政策により銀行は日銀にお金を預ける代わりに、融資に回すようにして、企業や個人がお金を借りやすくなり、経済を活性化させる効果が期待できます。また金利が下がれば金利差によって円高圧力も和らぐと考えられます。
もちろん副作用も考えられます。日銀当座預金の金利の大幅低下で銀行の収益力が落ち、中小企業向けの融資などが抑えられる恐れがあることなどです。日銀は銀行収益の配慮から、既に預けている分は従来通りプラス0.1%の金利をつけると発表しています。
この発表を受け、1月29日の金融・証券市場は乱高下しました。新たな政策への効果と副作用への期待と不安が交錯し、日経平均の高値と安値の差は871円に達しました。また欧米市場でも、大幅な株高・円安となりました。
この政策の効果がどの位あるのか、正直わかりません。専門家の意見も賛否両論です。今もなお世界経済には不安定な要素がたくさんあります。
そのような状況の中で資産を増やしていく為には、市況に一喜一憂しない事が大切です。(もちろん市況を注視することは必要な事ですが。)
そして長期投資、資産分散、時間分散を心掛け、どのような状況の時でも「慌てない」ことが大切です。
FPミモザ 田代 美由紀
プロのFPは“お客様のライフプランを管理する“
2016年、新しい年が始まりました。昨年は安保やテロやTPPや色々なことが起こりました。
今年はどうなるか。きっと昨年以上に色々なことが世界で起こり、騒がしい年になると思います。日本もやっと安倍政権が発足してから、国の動きが速くなってきました。その前の自民党政権、民主党政権ではとても世界の動きについてゆけず、まして世界をリードする国の一つになるなんて、そりゃ無理といったところだったと思います。
このところ私は毎月ミャンマーに出かけています。ミャンマーは2011年に始まった開放政策から「最後のフロンティア」と呼ばれていますが、フロンティアだからでもあるでしょうが、経済、政治、ものすごい速さで進んでいます。特に動きが著しいアセアンに位置していますので、ミャンマーで見ていますと、「世界は動いてるなー」といった感じです。
まあ、政治も経済も走り続けなければならないようですね。ただ暴走にならないように、過去をしっかり反省しながら。
ところで我々FPは「ミスターFP」というグループですが、これはFP発祥の国アメリカのFPと同じように、クライアントである個人の人生計画達成のため、資金繰り計画、リスクの保全などを投資、保険、不動産、ローン、年金などの知識を駆使してコンサルする、本来の実務的ファイナンシャルプラニングを目指すグループです。ところがこの前も、仲間のFPが「FPです」と自己紹介したら、「ああ保険屋さんですね」と言われたと嘆いていました。日本ではFPのほとんどが保険や不動産などの販売の為に働いています。なかにはそれがFPだと思っているFPも多くいます。
残念ながら我々は日本では少数派ですが、いつか、我々のようにお客様から「先生」と呼ばれるFPが増えてくるでしょう。なぜならば、この日本でもプロのFPは求められていると確信しているからです。
我々ミスターFPグループには「ミスターFPスタンダード」という、ミスターFPグループで守っていこうとする「規範」があります。
その1つに、「お客様のライフプランを管理する」 があります。
その意味は、「継続してシナリオプランに基づいたお客様のライフプラン(将来設計)を管理する」ということです。ここがお客様との関わり方における、保険代理店業、証券販売業、不動産販売業とプロのFPとの違いです。商品販売業は販売した商品の管理を行いますが、お客様の夢やライフプランの管理は行いません。ミスターFPは、金融商品の管理と共にお客様のライフプランの管理を行います。
その違いをお客様にしっかり分かっていただけるよう、我々はプロのFPとして、知識とスキルをさらに磨き、経験を積んでいこうと決意を新たにしております。
株式会社エフピープラネット 代表取締役 井畑 敏
アベノミクスは何処へ 懐かしの政策か
この一年は、皆様にとってどんな一年だったでしょうか。ファイナンシャルプランナー(私)自身も色々なことがありましたし、皆様はそれにも増して喜びや悲しみに出会ったのではないでしょうか。
自分の責任で失敗をしたこと、自分ではどうすることも出来ない社会の大きなうねりや健康上の問題で人生の進むべき方向がくるってしまったこと、その逆も然りです。
来年は“申年”、『申堅し』と言い、草木が伸びきり、果実が成熟して堅くなっていく状態を表すそうです。個人的にはアベノミクスが、軌道に乗り確りと堅い経済基盤が出来上がることを期待しています。
12月8日の日経新聞を見ますと、二つの記事が気になりました。①「米国株、ダウ反落し、117ドル安 石油株に売り」と②「日銀、消えた積極緩和派 物価目標達成の後ずれ容認論」です。世界景気の牽引役である米国経済の不安と日本経済の守り神の腰砕けという印象です。
②の記事について少しご披露すると、
金融政策を決める日銀の9人の政策委員から追加金融緩和に消極的と受け取れる発言が相
次いでいる。
「原油価格の変化で物価安定目標の達成が少し後ずれすることは許容するというのが、多くの
中央銀行の共通理解だ」(岩田規久男副総裁、12月2日の記者会見)
「物価を何としても上げるために、追加緩和すべきだと言う必要はない」(原田泰審議委員、11月
11日の記者会見)
市場参加者を驚かせたのは、追加緩和に慎重な姿勢を示したのが、金融緩和に積極的とみら
れていた岩田副総裁と原田委員だったためだ。・・・・・・・・・・
政府、日銀、そして一番の原動力である企業には、褌を締め直しアベノミクスの推進に傾斜することを期待しています。
また、我々FPが社会に貢献できるのは、皆様のライフが有意義であり意欲の湧くライフプランを作成するお手伝いをすることです。皆様も年末から年始にかけて、この時代を生き抜くため、改めてライフプランを見直してみてはいかがでしょう。
株式会社 VLIP 井上 昇
ロボ・アドバイザーの出現で、改めて考えるFPの存在意義
9月26~28日、今年もボストンで開催された米国のFP協会カンファレンスに参加してきました。
2009年から毎年のように米国のカンファレンスに参加をしていると、その年のトレンド(流行り)があることに気づきます。ある年は、顧客とのコミニュケーションの取り方であったり(そういう年は運用の成績が良くない年が多い)、ある年は、流行りのスマートベータ(※)の話であったりします。こうした資産運用先進国・米国におけるファイナンシャルプランニングのトレンドを把握するのも、興味深い作業です
さて皆さん、今年のトレンドは何だったと思いますか?
今年のトレンドは「ロボ・アドバイザー」の存在です。米国では、最近運用ポートフォリオに関する助言を、人間ではなく機械(主にwebサイトですが)が行うことが増えています。
例えば、Betterment, FutureAdvisor, Wealthfront等が最近出てきたメジャーな企業です。こうした会社では、個人の顧客のライフプランやリスク許容度などを、質問から自動的に判断してその個人にあった運用ポートフォリオを提案して、資産運用代行をしてくれます。
これまで対面のアドバイザーの資産運用に関する報酬(Fee)は1%程度が、米国での定価ですが、このロボアドバイザーでは
Betterment 0.5% https://www.futureadvisor.com/content/pricing/investment-management
FutureAdvisor 0.15% https://www.betterment.com/pricing/
Wealthfront 0.25% https://www.wealthfront.com/our-low-fees
と対面のアドバイザーの半分以下の価格設定になっています。
そこで、既存のアドバイザーとしては、価格に見合った付加価値を産みださなければならない状況になりつつあるというのが、今年のテーマとして扱われていました。
ちなみに、日本でも、
お金のデザイン社 http://service.money-design.com/
エイト証券 https://www.8securities.co.jp/8Now/jp/8Now.php
などが同じロボ・アドバイザーのコンセプトでサービスを提供し始めています。
日本でも、大手金融機関⇒独立系のアドバイザー⇒ロボ・アドバイザーという変化が生じるのでしょうか?
私も、大手金融機関でもなく、ロボットでもない独立系のアドバイザーの一人として、顧客にどのような付加価値を与えられるのか、しっかりと考えていきたいと思います。
株式会社マネーライフプランニング 小屋 洋一(CFP®)
(※)従来の時価総額型の指数のように市場全体の平均や値動きを代表する指数ではなく、財務指標(売上高、営業キャッシュフロー、配当金など)や株価の変動率など銘柄の特定の要素に基づいて構成された指数。中長期的に市場平均を上回るようなパフォーマンスを期待する指数として、年金運用やETF(上場投資信託)などの連動指数として採用され始めている。
波乱のときこそゆったり構えた資産形成を
8月から9月にかけて、日本の株式市場は6日連続で日経平均が2,800円も下がったと思えば、1日で1,300円も上がるなど大きく変動し、世界的にも株式・為替ともに荒い動きとなりました。相場に翻弄された方もいらっしゃったことでしょう。
心配しなくても暴落や急騰は相場の常であります。問題はそれがいつ起きるかわからないということ。
資産運用にはリスクがつきものですが、リスクを小さくするには3つの方法があります。
①資産分散 ②時間分散 ③長期投資
①の資産分散はもう説明不要だと思いますが、資産を一つにまとめずに「日本株式」「日本債券」「外国株式」「外国債券」などいくつかの資産に分けるということです。
②の時間分散は、一度にまとめて購入するのではなく、時間(タイミング)を分けて購入していきましょうということ。ドル・コスト平均法(※1)が代表例ですが、これはリスクを小さくするということ以上に購入をルール化してしまうことに意味があります。
人間は感情の生き物です。上がっているときにはもっと上がると思って買いたくなり、下がっているときにはもっと下がるのではないかと思って怖くなって売りたくなります。本当は、「安いときに買って高いときに売る」のがいいと頭ではわかっているのに・・・「欲」と「恐怖」の感情に負けてしまうのです。その感情に左右されることなく購入していけるのが最大のメリットと言えるでしょう。
③の長期投資は言うまでもないですね。短期間でみると大きな変動でも、長期間でみるとなだらかな動きであったということが少なくありません。最低でも10年間は見ておきたいところです。
そして、実は、もう一つ大事なことがあります。
それは、資産分散・時間分散・長期投資の3つを同時に行っていくということです。資産を分けて、時間(タイミング)を分けて、長期で投資をしていくこと。これが何より大切なあなたの資産を守りつつパフォーマンスを上げていく味方となってくれることでしょう。
相場がいいときも浮かれることなく、悪いときも慌てることなく、淡々と粛々と続けていける仕組みを作り、どのような相場のときでも悠々と資産形成をしていきたいものでありますね。
FPオフィス道~michi~
竹内 道子
(※1)ドル・コスト平均法
値動きのあるものを一定期間ごとに一定金額ずつ購入していく方法。価格が安いときにはたくさん買って、高いときにはあまり買わない、という買い方ができることにより、結果として購入単価を低く抑える可能性があります。
道交法の改正と自転車事故に備える対策は
今年の6月1日より道路交通法が大幅に改正され、自転車への罰則が大きく強化されています。詳しく知らない人も多いのではないでしょうか?
そこで新しい自転車の交通ルールの主なものを箇条書きにしてみます。
●自転車は車道通行が原則(歩道を通行できる条件はいくつかあります)
●通行するときは車道の左側
●飲酒運転・並進・二人乗りは禁止
●走行中の傘差し・携帯電話・イヤホンは禁止
●交差点では必ず交通ルールを守る
等です。今後は違反を繰り返して違反切符による取締りを受けた場合は、講習を受けなくてはならなくなり、これを受講しないと5万円の罰金が科せられることになります。
この背景には自転車運転者の交通ルールを無視した目に余る走行が目立ち、また大きな事故につながるかもしれない状況も頻発していることがあります。これも自転車が原因の事故を無くす為の一つの施策と思われます。
一方で、一般の人々も通勤・通学・買い物などに自転車を利用する人は多くいます。ただ、その自転車での事故も多々発生しており、最近では自転車事故の加害者側に高額な賠償を命じる判決も相次いで出されています。
①2013年神戸地裁:小学校5年の男子が散歩中の女性と衝突。障害が残るけがを負わす。
賠償額約9500万円。
②2008年東京地裁:男子高校生が歩道から車道を斜めに横断し、男性と衝突。障害が残るけがを負わす。賠償額9300万円。
自動車の場合は強制加入の自賠責保険および自動車保険にほとんどの人は加入しているため賠償に対する備えはできていると思われますが、自転車の場合は強制加入の保険は無いため、いざ事故を起こすと大変なことになってしまうケースも十分あり得るのです。
そこで、自転車事故の相手(人・もの)に対する賠償について保障してくれる「個人賠償責任保険(示談代行付き)」という保険に加入することをお薦めします。この保険は自転車事故だけではなく日常生活における賠償も補償の範囲に入っており、保険料も年間1500円前後と負担感は無く、個別に加入するのではなく自動車保険、火災保険などに特約として付けることができるので、満期更改時にセットするのも一案です。
いずれにしても「自転車といえども侮ることなかれ」。肝に銘じたい言葉ですね。
FPオフィスあみの
代表 網野 俊(CFP)
ギリシャ、ギリ、ギリの選択
返済期日次々迫る 14日のサムライ債110億円強
【2015年7月4日の日経ネット】
ギリシャの国際通貨基金(IMF)に対する債務15億ユーロ(約2100億円)返済(6月30日期限)は遅延し、欧州連合(EU)との金融支援交渉が決裂状態になり、債券の価格は急落している。元本の半値程度での状況である。ギリシャのデフォルト(債務不履行)回避は一段と困難な情勢になった。
借金を返す原資が細る中で、ギリシャには次々と返済の期日が訪れる。3日には海外で発行した債券の約5億円の利払い期日を迎えた。14日には円建て外債(サムライ債)の償還が控えている。支払いが滞れば格付け会社が債務不履行(デフォルト)とみなして、金融市場に混乱が広がる恐れがある。
14日に償還予定のサムライ債は20年前に日本の個人や機関投資家に販売された。今でも110億円強
が残っている。発行額はそれほど大きくないが、返済がなければ格付け会社がデフォルトとみなし、ギリシャ債の価格がさらに急落する恐れがある。第一生命経済研究所の田中理氏は「スペインやポルトガルなどの南欧国債にも懸念が波及し金融市場が動揺する可能性がある」と指摘する。
サムライ債以外にも10日に20億ユーロの短期国債の償還が予定されている。20日は欧州中央銀行(ECB)が保有する国債35億ユーロの償還期日だ。8月以降も短期国債などの期日が相次ぎ到来する。
国民投票で「緊縮賛成」となっても、返済資金を速やかに用意できるかは不透明だ。サムライ債の管理事務を担当しているみずほ銀行は、返済がなかった場合は公表する予定だ。
【要約・補完】
結果 国民投票は「緊縮反対」となってしまい、この状況でギリシャは14日のサムライ債の償還を迎えます。110億円は額としてはが小さいものの、債権者が個人投資家や地銀のため、待ったなしにデフォルト宣言する可能性は大です。
IMFやECBについては、日本に置き換えて考えれば日銀が金融機関の債務の滞りに対してどう対応するかのようなもので、落としどころを見つけてうまく決着をつけるでしょう。しかし、サムライ債の債権者はそんな悠長なことは言っていられません。個人や地銀です。
日本の株式市場は需給関係が非常に良好で、ギリシャの影響を受けているといっても日経平均は2万円台をキープしています。今後、さらにGPIFや郵貯の資金10兆円が投入されてきますので、調整は入るものの、8月に入れば落ち着きを取り戻し、ジャブついた資金が投資へと向かい2万2,000円を超えてくるだろうと私は予想しています。
いずれにしましても、リーマンショック時との大きな違いは、損失の額も小さく、且つその影響範囲が明確なことです(リーマンショックは影響範囲の特定ができず、不安がなかなか消えませんでした)。従って、個人的には、ギリシャ問題は金融環境にはほとんど影響はなく、むしろ次の拡大ステップへの序章と とらえています。
CFP 井上 昇
幸福への一歩! ~まずは支出配分を考えましょう~
何かのライフイベントをきっかけに、それまでは収支が黒字だった家計が、一気に赤字家計になることがあります。例えばマイホームの購入。それまでは頭金を「貯められる」家計だったのに、購入後は「全く貯められない」家計になってしまう事がよくあります。そして、場合によって数年後には「赤字の家計」に陥ってしまう。
その原因は、支出配分にあります。よく、住宅ローンの借り入れ可能な額として、「家賃プラス頭金積立の額」と言われます。これには、支出配分の面からみると大きな間違いがあります。
例えば、手取り月収30万円、家賃8万円、頭金積立2万円の月の家計を見てみると、「居住費8万円(26.6%)、貯蓄2万円(6.6%)」の支出配分になります。これが全額住宅ローン返済に充てられると「居住費10万円(33.3%)、貯蓄0円(0%)」の支出配分になります。
家賃も住宅ローンも、支出の面からみれば、共に「住居費」なのです。そして、頭金の積立をローン返済に充てることは、支出配分を変更することなのです。
自分の生き方として支出項目に優先順位を付けることは重要です。安田財閥を一代で築いた安田善次郎氏は、「住居費にかけるお金は、収入の1/10を超えてはいけない」と決めていたそうです。一方で、高級外国車に乗るために、その他の支出を最小限に抑え、それで幸せな人がいます。
要するに、限られた収入の中で、自分はどう支出を振り分ければ幸せか?と言うことです。ライフプランを作成する際、ここがしっかりしていないと、目的が「幸福」ではなく「損得」だけ、合理性を追求しただけの「誰でも同じ」プランしか作成できません。
主な支出項目として、住居費・保険料・教育費・外食費・旅行代・自動車関連費・貯蓄・被服費などがあります。他に自分がこだわっている事は一つの費目とします。
まずは感覚でいいので、自分に必要な費目の優先度を百分率で表してみてください。どうでもいい費目は、「その他」で一まとめにしても良いです。次に、実際の家計から、現在の支出配分を導き出してください。当然、理想と現実にはギャップがあるはずです。
このギャップを埋めるのがファイナンシャルプランです。実際には、収入の範囲内で収まるよう、優先順位の低いものは妥協したり、お金をかけないよう工夫したり、将来の支出増を見越して、費目ごとに積立金を準備します。また、資産運用で収入を増やすことも考えます。
よく、理想の家計として、「住居費に何%、保険に何%、食費に何%・・・」と書かれた本がありますが、アセットアロケーション(資産配分)が人それぞれのように、支出配分も人それぞれなのです。
人は、暗くなるような目標に向かっては、決して努力しないそうです。まずは自分の価値観で支出配分を決めてください。日々の生活が楽しくなければ、せっかくのライフプランが台無しになります。
田島FP事務所(T.F.P.O) 田島 稔之 CFP®
お金の失敗・無駄をしないために
~4月に社会人デビューしたばかりの皆さんに伝えたいこと~
常日頃、皆様は人生の先輩として、社会人デビューしたばかりの日本の若者たちに向けて、いろいろなメッセージを持っていらっしゃるのではないでしょうか。発する言葉は違っても、皆様のご経験や人生観、経験談は彼らにとって非常に参考になるものです。是非、お伝えください。
その時に参考になるかと思い、FPとしてぜひ伝えたい二つの点についてまとめてみました。
「今からスタート」ということで社会人1年生は「ゆとりある生涯資金設計達成」のベストチャンスにいます。まだまだ仕事が大変な時期だと思いますが、強力な武器を最大限活かすには、まさに「今でしょ!」なんです(ちょいと古い?)。
ベストチャンスを活かすには、出来るだけ早く「無駄なく賢くお金を使いたい」という意識を持つことが必要です。独身でまだ将来のプランが定まっていないとしても、「①保険」、「②貯蓄」についてしっかり押さえておくことが大切なのです。特に「①保険」は就職早々、お金の失敗・無駄に遭遇しやすい場面と言って良いかと思います。
①保険について
社会人になると保険の勧誘を受ける機会が増えます。既に職場で保険営業の方とご挨拶をされているかもしれません。ここで言っておきたいのが、保険で失敗・無駄をしない為に『急いで加入しないで!』ということです。
社会人1年生ですから“貯蓄は今から”という方が大半でしょう。貯蓄が少ない間は、特に突発的アクシデントに備えて保険に加入しておくことは生涯資金設計を考える上で大切です。ただ、加入の仕方を間違えると、本当に必要な保障を確保出来ず、さらには100万円単位で余分な保険料を払ってしまうなんて結果になることも…
以下は、ベストチャンスに保険で失敗しないためのポイントです。若年層に限らず保険に加入するときの基本です。
・保障はいつまで? 支払はいつまで? どんな時受け取れる? ということを把握し検討する。
・「この保障が欲しいから下さい!」と指示できるくらいになるまで勉強する。急いで加入する必要はありません。
・会社の団体保険も、安いという理由で加入しない。内容を把握して検討を!
・FP等の専門家にセカンドオピニオンを依頼することもおすすめ。
②貯蓄について
最近ニュース等で「投資信託」「NISA」「確定拠出年金」等々の運用に関する言葉に接する機会が多いです。ただ、貯蓄も保険と同じく、急いで「投資信託」「NISA」「確定拠出年金」等を使う必要はありません。ご自身の運用方針を決定してから活用しましょう。
社会人1年生であれば、次のような貯蓄の考え方はいかがでしょうか。一例として参考になると思います。
まずは手取収入の最低1割の積立をスタートしてみましょう(理想は2割以上)。例えば初任給手取を17万円とすると、毎月17,000円の積立です。ボーナスも手取の1割を積立てます。その結果、円定期等の確定利付商品で100万円確保します100万円確保後は、毎月積立額の半分をNISAや確定拠出年金の優遇税制を活用して、将来に向けた長期運用を開始しましょう |
サラリーマンの生涯年収は業種、会社によっても違いますが、2億円とも3億円とも言われています。
仮に生涯手取収入2億円で社会人デビュー時から手取の1割を貯蓄できた場合、40年後に2,000万円残ります。もし、これに2%の力を加えて運用出来たとすると3,000万円の金融資産を残すことができます。ただし、これではゆとりある人生を全うするには役不足ですね。運用の工夫はもちろん、収入を増やす努力など、さらなるプラスアルファの努力が必須です。人生の先輩としては、その点にポイントを置いてアドバイスしたいところです。
無駄な保険料を払うことを避けて必要な保障を上手く買い、早く最低1割貯金(理想2割)始めたくなれば、“最初の一歩”を踏み出したことになります。次は“独身の間、残りのお給料の一部をスキルアップ資金として自分に投資する”というように、更なるステップが楽しくなります。
さて次のステップは?
てらの・ファイナンシャルプランニングオフィス 寺野 裕子
マクロ経済スライド発動!!(平成27年度公的年金)
1月30日、平成27年度の年金支給額が発表されました。今年度は「マクロ経済スライドの発動」「名目年金額の16年ぶりに引き上げ」等の動きがあり、注目すべき年といえます。
現制度では、支給される年金の国民年金(老齢基礎年金)の部分は65歳になると支給されます。ただし、25年以上にわたって年金保険料を納めなければなりません。年金法改正案では、10年以上納めれば支給されることになっていたのですが、今年はこれが見送られました。
満額(平成27年度、780,100円)をもらう為には40年間(480か月)保険料を納めなければなりません。保険料を納めた期間が40年に満たなければ、その期間(月数)に応じて支給される年金が減額されます。
会社員は厚生年金に加入しています。会社と従業員が折半で年金保険料を納め、65歳になると厚生年金と国民年金を受け取ることになります。公務員などが加入している共済年金も同様です。この共済年金は今年の10月には厚生年金に統合される予定になっています。
また、専業主婦は夫が会社で厚生年金に加入していれば、自動的に、国民年金に加入することになります。厚生年金に加入していない自営業の人は、国民年金のみの支給となりますので、会社員に比べると年金額がかなり低くなります。
ところで、この国民年金の支給額は毎年少しずつ変わっています。今年は昨年より0.9%、上昇しています。少子高齢化で年金の財源が厳しいと言われているのに何故でしょうか?
毎年度の年金額を決めるロジックは複雑です。簡単に説明すると、物価の上昇率から少子高齢化等で財源が厳しくなる分(マクロ経済スライドという)を割り引いて年金額を決めるというものです。
例えば物価上昇率を2.7%(平成26年平均の全国消費者物価指数)とすると、先ず物価上昇率から①名目手取り賃金変動率2.3%を導き出し、そこから③マクロ経済スライド調整率0.9%を引いて(今年初めて適用)、さらに過去のマクロ経済スライドを発動できなかった調整率(特例水準の段階的解消)0.5%を引いた0.9%が年金支給額の増加額になるという訳です。式に書くと次のようになります。
2.3%(賃金変動率)−0.9%(スライド調整率)−0.5%(特例水準調整率)=0.9%
まあ「多額の借金を抱えていて財政が厳しくあまりあげられないけれど、物価も高くなるから少しは上げてあげるよ」と言ったところでしょうか。
物価が既に上がり始めています。年金受給者も年金だけに頼る生活よりも、新しい生き方を見つける努力も必要と感じています。
FPミモザ 田代美由紀
GPIF 第3四半期運用結果と投資期間研究
1. GPIFの第3四半期運用結果
去る2月27日、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が平成26年度第3四半期の運用状況を発表しました。ここで、注目すべきは第3四半期という期間のことです。GPIFは昨年の10月に、それまでの国債主体である保守的な運用方針からパッシブ型の運用方針とすることに方針を転換し、その運用成果が注目されていました。
結果第3四半期は、国内外の株式及び外国債券の上昇等により、+5.16%となり、その収益額は+6兆6000億円となりました。第3四半期末の運用資産額は、137兆円。
第1-3四半期では、収益率は+9.96%、収益額12.4兆円となっています。
仮に第4四半期が0だったとしても(そんなことはないとは思いますが)、平成13年度からの運用実績を見ると平成22年度の11.2兆円が過去最大ですから、今年度は史上最高を記録するものと期待されます。
その主な勝因は内外の株式市場の上昇にあります。更に株式比率を引き上げたこと。GPIF資料によれば、昨年9月を100としたベンチマーク指数が、日本株式(TOPIX)は+6%、外国株式が(MSCI KOKUSAI, MSCI ACWI)が両方とも+11%となっており、時流に乗り始めたと言えます。
GPIFの年度初めの運用額は約130兆円でしたから、1%動いただけで1.3兆円です。こうした資金がじわじわと信託銀行を通して買われているようです。
2. 他の共済組合
国の骨格であるGPIFが「国債75%・株式25%⇒株式50%・国債50%」に転換したことを受けて、他の共済組合も運用方針を転換します(2/26 日経新聞)。
国家公務員共済組合(資金 7.6兆円)、地方公務員共済組合(資金 18.9兆円)、私立学校共済組合(資金3.8兆円)の3資金合計約30兆円をGPIF方式で活用すると5.1兆円が出てくるそうです。
そして、もう一つ注目すべき点は、GPIFや共済の資金は売り買いが頻繁にないことです。長期分散投資を基本にしている為です。 ※共済年金は平成27年10月から、被用者年金制度として厚生年金に一元化されます。
3. 投資機関と4資産分散効果
今回論点の中で最も大切なポイントはここです。
資産運用は短期より長期が良いと言いますが、どの程度保有していれば良いのか、先日あるFPフォーラムで配布された資料の中に参考になるものがありました。国内株式、国内債券、外国株式、外国債券を25%ずつ保有して毎月末にリバランスしていったとして、結果を評価するものです。期間は1970年から2014年までの44年間。
① 1年 1年間投資して元本を割った回数:44回中14回
② 5年 5年間投資して元本を割った回数:40回中 4回
③10年 10年間投資して元本を割った回数:35回中 0回
この期間中には1987年のブラックマンデーも、2008年のリーマンショックも入っています。こうした大幅下落も長期保有は乗り越えて均してくれます。一般的には7年保有でほぼ赤字は解消する見込みと言われています。
日本の国債利率の低さでも25%保有をするべきか否かは、顧客の年齢や資金余裕度によって変動があって良いでしょう。年金生活者や資金の余裕のない人にとっては、市場リスクや為替リスクの大きい外国物や株式より、利率が低くても日本国債の割合を多くするなど資産安定型の方をお勧めします。
株式会社コバヤシアセットマネージメント代表
小林 治行(CFP・1級FP技能士)
REITの魅力 その商品性と順風の金融環境
世界のREIT市場は多様性を持っています。日本でも最近、ヘルスケアREIT第1号が立上がったばかりです。REITのメリットは利益の90%以上を配当する場合、税制面の優遇措置を受けていることです。*
REITはその仕組み上、分配金利回りの高さなどがメリットとなり、概ね世界株式を上回っています。昨年前半の実績では世界株式 2%、グローバルREIT 13%となっています。(ドルベース5/20まで 日興アセットマネジメント調べ)
いつも株式に勝っているという訳ではありません。サブ・プライムローンで世を騒がせた07年、08年は株式の値下がり以上に値を下げましたから、安心資産とは言えません。しかし、回復が早い。フィデリティー資料によれば、昨年7月までの10年間のUS REITのリターンは9.6%。同じ期間のS&P500は8.0%でした。ちなみにTOPIXは3.0%。(米市場はドルベース)
REITは内部留保はほとんどないので、資金は手持ち現金、株式、借入金になります。借入金で困るのは金利が上昇すること。米国では今後財政引き締め期に入り、本年年央には政策金利がアップしそうです。但し、金利が上昇することは経済も活気することですから、悪いだけではありません。日本は金利も足元10年物で0.3%さえ下回るかという状態です。今後もこんな状態がまだ続くでしょう。
ドル/円為替も米国と日本の財政比較からみて、米国の優位性は変わらず、ドル高基調はそのまま。更に米国はシェール原油により、輸入国から輸出国に転換するほどの恩恵が今後さらに強まります。
J-REIT の分配金利回りは現状3%台前半ですから、国債に利幅を取れない金融期間、特に地方銀行の需要は強いようです。
*REITは利益の90%以上の利益を配当する場合、その配当金額に相当する利益について
法人税が非課税になるという税制上のメリットはありますが、投資家への配当金の段階では課税対象になります。(資料:フィデリティー USリート資料)
米国と米国以外のREIT市場の比較 |
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米国 |
米国以外 |
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時価総額 |
62.3兆円 |
オーストラリア |
8.8兆円 |
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日本 |
8.6兆円 |
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英国 |
6.3兆円 |
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フランス |
4.6兆円 |
銘柄数 |
144銘柄 |
オーストラリア |
27銘柄 |
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日本 |
46銘柄 |
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英国 |
17銘柄 |
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フランス |
9銘柄 |
REIT導入年 |
1960年 |
オランダ |
1969年 |
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オーストラリア |
1971年 |
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カナダ |
1993年 |
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日本 |
2000年 |
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フランス |
2003年 |
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英国 |
2007年 |
主な業種 |
多種多様な9業種 |
欧州・オーストラリアは小売セクターの比重が高い。 |
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102円/$で計算 |
2014年7月末現在 |
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注)この資料は個別銘柄を推奨するものではありません。投資は個人責任でお願いいたします。 |
株式会社コバヤシアセットマネージメント代表
小林 治行(CFP・1級FP技能士)
アセアンの一人一人の為の市場が日本を待っている
皆さま、明けましておめでとうございます。
さて今年が良い景気の年になるか? これはひとえにアベノミックス第3弾が動き出し、大企業だけでない日本全体を巻き込んだ好景気循環に入れるかです。
ちょうど1年前の昨年1月、このFPのひとり言で「10年で株価が3倍となったアメリカの1990年代」これと同じことが日本でも起こるのではないかと書きました。バブル崩壊後、長らく低迷していた日本の株価は2012年7月25日の8,365円(日経平均株価)を底に、上昇サイクルに入り、2012年12月の安倍政権誕生後、上昇傾向を続けています。 2015年1月5日の大発会の株価は17,408円(日経平均株価)、この2年半余りで約2倍になりました。
3倍は約25,000円ですので、と言うことは、今後今の株価が約50%上がれば、アメリカの1990年代と同じように3倍を達成したことになります。一朝一夕にはいかないでしょうが、まだ2年半です。あと7年半あります。2020年にはオリンピックもあります。いけそうですね。
アメリカはその後、何年かの踊り場のあと、再び上昇サイクルに入っています。これはアップルをはじめとするIT産業の革命、シェールガスによるエネルギーの革命など、いくつかの革命、すなわち体質改善をしてきているからです。
日本はアベノミックス第3弾で日本の産業界の体質改善をやろうとしています。これが成功するか、岩盤規制と言われる既得権益をいかに破って行けるか、頑張れ、頑張れ、と言ったところです。
私はこのところ、ミャンマーに入り浸っています。かたや、平均年齢はまだ若く、人口も産業もこれから伸びていく国、かたや、超高齢社会を迎え人口、産業とも拡大の時期は過ぎた国。対照的な国ですが、私はつくづく東南アジアが日本に近くてよかったと思っています。若く、高成長を続けるアセアン諸国、日本はその市場を活用し、今後もより活用を拡大していくことでしょう。日本産業の拡大はこう結う形で行い、日本国内では量より質の、それも1人1人の為の産業の質を高めていく、そんな体質改善を進めてくれたらいいなと思います。
株式会社エフピープラネット 代表取締役 井畑 敏
’!4年後半の投資環境と対策
1 アメリカ
経済は堅調な内需と安いエネルギーにより今後とも上昇すると見られます。 当初景気対策として8兆ドルを市場に供給してきた資金供給も、年内には終了見込み。 11月には中間選挙があるオバマ政権にとっては、下院に続き上院も野党主流化の懸念があり、となると法案提案に妥協が続きます。「決められないオバマ」が残り2年続くことになります。 経済は順調。NYダウは史上最高レベルが続いています。 軍事リスクもありますが逆に「決められないオバマ」の影響で、拡大化しないことが功を奏しています。
2. 中国
中国の‘14年の経済見通しは目標の7.5%とほぼ同じと政府は平穏を装っています。しかし、不動産価格は各地で下落が鮮明になっており、5月の重慶の高級マンション価格は販売価格を2割以上下がっていると言います。上海も下落都市になりました。 (日経:6/19 6面参照) この傾向は中国の株価「上海総合」指数を見ると一層顕著に出てきます。足元は2,000ポイント程ですが、5年前に比べると▲30%、3年前に比べると▲27%です。つまり下がり傾向に歯止めがかかっていません。 若し、株価低迷に不動産不況が重なったらアメリカ・リーマンショック並の影響を警戒しておかねばなりません。対策は、下がり表面化の前に処分しておく。表面化したら売り急がないこと。数年たてば元に戻るでしょう。
3. 日本
8%消費税の導入もスムーズに進み、インフレ目標2%達成見込み。6月末にはアベノミクス成長戦略の発表が期待されます。内容は法人税減税、NISA拡大、TPP推進、GPIF株式10兆円、五輪・観光促進など。攻めの政策が期待できます。来年の消費税導入に向けて、環境作りの為にも政府は手を緩めることはないでしょう。円安構造も変わらず、今後とも緩慢な成長が期待されます。
4. 他に 成長の期待としてはインド。
5月インフラ開発に積極派のモディ政権が誕生し投資の呼び込みが期待されています。 地域紛争は又イラン・イラク地区。原油価格上昇が懸念される。対応はシェールオイル輸入促進や原発再開など。
注)上記情報は正確とは保証しかねます。投資は自己判断のもとでされるようお願いします。
株式会社コバヤシアセットマネージメント代表
小林 治行(CFP・1級FP技能士)
米国でフィーオンリーの事を聞いてきました
先月、私にとって3回目の米国FP視察に行ってきました。場所はユタ州ソルトレイクです。今回の目的もNAPFA〔フィーオンリーを遵守すると約束したFPだけが会員になることができるFP団体〕カンファレンス参加と2社の現地FP事務所訪問です。
毎回自分なりに課題を持ち参加しているのですが、今回は
フィーオンリービジネス〔金融機関等からの手数料は一切受取らず、収入は顧客からの顧問・相談料のみとするスタイル〕に対する金融機関、システム会社等の支援体制が米国になかった時代、「フィーオンリーでどのように運営していたのか」を教えていただくことを課題としました。
この課題は昨年のNAPFAラスベガス大会で米国の30年前の話を聞いたことがきっかけになっています。日本は現状、金融機関等のサポート体制が確立していないためフィーオンリービジネスを行うことは不可能という意見もありますが、30年前は米国も現在の日本と似たような状況で、米国の先輩達は難しい環境の中でフィーオンリービジネスを模索し始めていたようです。ポツポツと一人、二人とフィーオンリーに舵を切るFPが現れ、30年後の現在NAPFAは2700人の会員数と成長しています。
これはひとえに『FPとしての活動は顧客を守るためあって、自分自身や金融機関の利益を守るためにあるのではない』という理念がフィーオンリービジネスへの原動力となっているのです。
私も、ゆくゆくはフィーオンリースタイルへとの思いがかねてよりありましたので課題に対する答えを探ってみました。
答えは事務所訪問で見聞中に教わることができました。
それは魔法をかけた訳でも何でもなく、基本的にはサポート体制が出来るまでは細かなお客様とのやりとりは手作業で行っていた。例えるなら、洗濯機が出来るまでは全て手洗いで行っていたって感じでしょうか?
今回は文字数の関係でこれ以上の説明は割愛いたしますが、とっても手間はかかりそうですが出来ないと決めてしまうのは誤りであるということが今回の答えです。
現在の米国ではフィーオンリービジネスをサポートするカストディアン〈フィデリティ、アメリトレード等〉が顧客との橋渡し役として金融商品提供、顧客、金融機関との金銭の授受等を委託されて行っています。またシステム会社等による顧客データ管理サポートも充実しています。この米国の現況は日本で活動する私としては羨ましい限りです。
今回の視察をきっかけに、私も「ポツッ」とフィーオンリーFPに舵を切る決意をしています。今後おそらく、ポツポツと日本にも「フィーオンリーFP」が誕生すると思います。皆さんがFPを選ぶ際、「フィーオンリーFPなのか?違うのか?」といった判断基準が加わるのも、もうすぐだと思いますよ〈願いも込めて〉。
Mr.FP 徳島オフィス 寺野裕子
消費税8%がスタートして1ケ月~今消費者がやることは?
とうとうこの4月より消費税が8%となりました。8%になったなあと実感したのは、4月1日の朝JRで辻堂から横浜へ行き改札口をスイカにて通過しようとした時に496円と表示された時。いつもと違い何か変な感じでした。切符を購入すると500円で20円の値上げ(以前は480円)になっていました。4,2%の値上げです。
その他でみてみると、吉野家の牛丼(並)300円、7,1%の値上げ。ドトールコーヒーブレンド(S)220円、10%の値上げ。日本たばこのセブンスター460円、4,5%の値上げと消費税の引き上げ分を超えて大幅に物価が上がっているものが数多くあります。この機会に値上げしているのでしょうか。
消費税が5%から8%に増税された場合家計の負担はどうなるのでしょう? みずほ総合研究所のレポートによると年収500万円~600万円の世帯では年間で87,591円の負担増になると試算しています。約9万円の負担増は家計に少なからず影響をあたえることになります。
それではこの増税に負けない強い家計を作るための対策を考えて見ましょう。
対策その1:家計簿をつける。4月8日付日経新聞に記事が掲載されていましたが、家計簿の定番「明るい暮らしの家計簿」が年末を過ぎても現在まで書店よりの注文があり、売れ続けているとのこと。この現象のキーポイントは「節約」。確かに景気は良くなってきましたが、将来に目を向ければ年金や老後の不安など「老後の備え」を気にする傾向が顕著に表れています。どんぶり勘定からの脱出の意図が見えてきます。
対策その2:家計の見直し。家計の収支の改善方法は①収入を増やす②支出を減らす③お金に働いてもらう、この3つです。でもなかなか①と③は困難が伴います。しかし比較的簡単に出来るのが②支出を減らすこのことです。とはいっても食費やお小遣いの削減はストレスを感じることがままあります。電気代を減らすために気を遣ったり、日ごろの楽しみまで犠牲にしたくないですよね。支出の削減の基本は固定費の削減です。毎月固定的にかかっている費用をチェックしましょう。
対策その3:保険の見直し:そこで登場するのが保険の見直しです。今まで支払に困っていないので何となくそのままにしている方が多くいます。契約当初の状況と現在の状況は大きく変化しています。今支払っている保険料に無駄は無いのか?必要な保障がきちんとついているか?見直してみて保険料が百万円単位に削減できた方が私のお客様で大勢いますよ。
これから続く増税に負けない家計を作るために、今やるべきことをしっかりやっていきたいものです。
FPオフィスあみの
代表 網野 俊 CFP(R)
タイトル: リスク(標準偏差)の活用法
ポートフォリオ理論を利用する場合、まず各資産のリターン(収益率)を「それがどのような要因に応じて決まるのか」も含め、予測しなければならない。CFP試験においては、要因の発生確率と要因ごとのリターン(収益率)が与えられているため計算できるが、実際の投資に活かすとなると、価格に影響を与える要因が多すぎて個人の情報量では収益率を予測できない。 個人においては、過去の平均をリターン(収益率)とみなして計算するしかないと思うが、「過去の株価上昇は、将来の株価上昇を約束するものではない。だから過去のリターン(収益率)を参考に、将来のリターン(収益率)を推測してはいけない」という意見もある。また、過去の平均値も、採用するサンプル期間のとり方で変わってしまう。 結局ポートフォリオ理論を利用するには、景気の好調・不調・普通・暴騰・暴落の確率を恣意的に割り当て、それぞれのリターン(収益率)を予測するか、批判に負けず、過去の平均を恣意的な期間で導き出すしかない。どちらにしても恣意的な数値で、すべての人を納得させる客観的数字とはならない。 ところが、リターン(収益率)については、過去のデータを採用する事に批判的な研究者も、ことリスク(標準偏差)については5年程度の期間のデータ数があれば利用することに肯定的な意見が多いようだ。つまり、リスク(標準偏差)に限っては過去平均を使っても差し支えないということ。 過去の平均なら、投資信託のサイトや、モーニングスターなどでは過去の平均の数値としてリターン(収益率)やリスク(標準偏差)を紹介しているので、リスク(標準偏差)の数値は簡単に手に入れることができるし、個別銘柄なら、過去5年の月間変動率を調べて平均値を導くことができる。 では、リスク(標準偏差)をどのように使うのか?リスク(標準偏差)とは、ブレ幅のことで、「中心(平均)からどのくらい離れるか」ということ。そして±2標準偏差(リスク)の中に納まる確率は約95.44%になる。仮にリターン(期待収益率が)5%で、リスク(標準偏差)が20%の資産に1万円を投資した場合、平均では500円儲かり、95.44%の確率で4500円(5%+20%×2)の儲けから3500円(5%-20%×2)の損の範囲になるということだ。 つまり、リスク(標準偏差)は、投資をしたいがあまり余裕のない方や、適正な投資額を知りたい人にとっては、投資に回してもいい金額を測定するのに使える。 仮に投資に回せるお金(失っても手当てできるお金)が毎月1万円あったとして、1万円を投資するのではなく、リターン(予想収益率)がゼロの時、リスク(標準偏差)が20%なら-2標準偏差の40%が最悪のケース(失う確率95,44%の範囲内)になるので1万円÷40%の25000円までが投資に回せるお金となる。 もちろん、十分な預貯金が有ってのことだし、予想収益率が-60%ならすべて失ってしまう。結局、貯蓄・保険を含めて考えた、トータル的な運用プランが必要となる。 田島FP事務所(T.F.P.O) 田島 稔之 CFP®
タイトル: NISA(日本版少額投資非課税制度)について考える
昨年2013年夏ごろ、テレビCM、新聞や雑誌広告、あるいは取引のある金融機関のダイレクトメールなどでNISAの宣伝広告を見なかった方はいないのではないでしょうか。 それだけ各金融機関はかなり激しく営業や宣伝をしていました。 当初は、口座をつくると4年間は金融機関を変更できないということでしたので、各金融機関は顧客囲い込みに夢中でした。 キャッシュバックや紹介料や住民票取得代行など、過剰ともいえるサービス合戦で顧客獲得競争を繰り広げました。 顧客獲得合戦の熱も冷めてきた今考えてみると、肝心の国民にはNISAは本当に得なのでしょうか? NISAは、利益が出れば非課税の恩恵を得ることができます。 でもNISAの本質は非課税ではなく、元本を書き換える「値洗い」という仕組みです。 だから損が出た場合もマイナスに元本が書き換えられることになります。 NISA口座で元本100万円を運用し、5年後に課税口座に切り替わる際に80万円に下がっていれば、元本も100万円から80万円に書き換えらます。その後80万円を課税口座で運用し1年後に100万円に戻ったときに売却したとすると、元本が80万円に書き換えられていますから、20万円の譲渡益が出て課税されてしまいます。 100万円の元本が100万円に戻っただけなのに税金がかかってしまいます。(涙) このように非課税どころか余計に税金がかかる可能性があるのです。 つまりNISAというのは利益が出なければ、何の役にも立たない制度ということがわかります。 そもそも、国民に正しい運用知識が伝わっていて、安定して利益を得ることができれば、課税されていたとしても、もっと多くの人が運用していたのではないかと思います。 でもNISAが導入された今も国民に正しい運用知識が伝わらないまま制度だけが一人歩きしています。 今も金融機関は、商品の販売が一番の目的で、安定運用のための知識を教えたりサポートしたりすることはほとんどありません。 この調子では、5年後損をかかえる人も結構いるのではないかと思ってしまいます。 NISAは、国民の資産形成の一助のための制度です。 この制度が定着するには、5年後に、利用してよかったね、と多くの人が感じて国民の評判がよくなること。 そのためには、我々独立FPが正しい運用知識を伝え広めていくことがとっても大事ではないかと思います。 肝に銘じてこれからもがんばります。
田島FP事務所 CFP 田島稔之
タイトル: JPX400に注目
新しい株価指数「JPX日経インデックス400」が14年1月6日から発表された。初指数は11,728ポイント。
従来の日経225やTOPIXとは別に、その設定の目的がグローバルの中で強靭な証券市場を構築しようと創設されただけに、優良銘柄が選ばれることに注目したい。
1. 銘柄の選択範囲
東証1部・2部・マザーズ・ジャスダックの中から400銘柄を選定し、時価総額加重平均で計算される。指数は2013年8月30日を10,000とする。
2. 選定の基準
1) 過去3年間の売買代金、時価総額から1,000銘柄を候補として選定
2) 3年間の平均ROE(4)、営業利益(4)、時価総額(2)の3つを( )内比率でウェイト付け
3) 社外取締役や英文決算資料があれば加点
4) 上場後3年未満の銘柄や、赤字・債務超過企業は除外
5) 銘柄の入れ替えは毎年8月末
3. 効果
選定にはROE(自己資本比率*)と営業利益が重要視される。
その結果JPX400のROEは11%となり、東証全銘柄の約6%と比較して高くなった。ROEを重視する欧米の15%に比較して、これまで劣性感のあった日本市場の評価向上となりそうだ。
約120兆円の年金資金を運用する「年金積立金感知運用独立行政法人」(GPIF)はこれまで国内株式投資の大半をTOPIXに連動するように運用してきたが、この内一部をJPX400に連動させるつもりだ。
* 自己資本比率(ROE)=一株当たり利益(EPS)÷一株当たり純資産(BPS)
4. 日経225にあって400には選定されない銘柄
日経225の中で73銘柄が400では不採用になった。有名ブランドではサッポロ、マツダ、日本製紙、住友化学(日経連代表会社)、大和証券、任天堂、電力各社など。
特にパナソニックは2期続けて赤字が出ていることが不採用理由になっている。
5. 今後の見通し
400に選定されるということは優良企業として選定されるので株価上昇が期待される。東京証券取引所と大阪証券取引所を合体させ、世界に通用する取引所の競争力を強化する。これからはJPX400に関心を持つ必要がある。
株式会社コバヤシアセットマネージメント
小林 治行(CFP,1級FP技能士)
タイトル: 物価の上昇とFP
昨年2013年日本の株価は57%もの上昇を記録した。 今年も株高の気配が強く、
もしかすると長期上昇期に入るかもしれない。 思い出すのは1990年代のアメリカだ。
日本がバブル崩壊で失われた20年に入っていく中、アメリカは10年で株価を3倍にした。
この1990年から2000年の10年間はアメリカのFPが大きく顧客を増やした時。 株価の上昇が続き、結果オーライと言うこともあったとは思うが、顧客も資産を増やし、FPも顧客と事業を拡大した時期である。
この時活躍したのがアセットマネージメント(Asset management)と言われるFP業の仕組みだ。 キャッシュフロー分析を行い生涯資金設計(FPプロフェッショナルズの中ではシナリオプランと呼ばれる)を作成すると、次は生涯資金設計で定めたファイナンシャルゴールを達成する活動に入る。 その時使われるのがこのアセットマネージメント。 いわば、FPがファンドマネージングを受け持つわけだ。 もちろん、FPはファンドマネージャーではないので、ファンドマネージング会社と提携してやるわけだが、FPは顧客のファイナンシャルゴールは知っているし、その背景となる顧客の夢、財産、借財、すべて知っているので、ファンドマネージャーに適切な指示ができる。
こうして顧客の生涯のファイナンシャルゴールを目指して、長期の資金運用をしてあげるのが、アセットマネージメントである。 これが日本ではできない。 現在の金融取引法では運用のための一任勘定は最低資本金5000万円の会社を作らなければならないし、またそれなら依頼できる金融機関は‐‐‐、となるとこれもない。
日本の金融制度は欧米に比べて20年~30年遅れていると言われるが、実際その遅れの現場の一部を体験しているFPとしては、アメリカの1990年代のFPと顧客の体験、それと同じ体験を是非この10年で日本でも実現したいと願うところである。
2014年元旦
株式会社FPプラネット
代表取締役 井畑 敏
昨年、「12月4日公示―16日投開票」のスケジュールで選挙戦が始まり自民党が政権を奪回した。3本の矢に象徴されるアベノミクス は、日本経済を復活し、国民生活を豊かにする政策であり、先ずは量的緩和により資金を潤沢にし、期待インフレ率を上昇させ、その後、種々の政策により、実質的な経済成長を実現していくというシナリオを描いた。
最初に反応したのは市場であり、株価上昇と為替の円安トレンドへの方向転換である。国民の投資意欲も復活し、株式、投信の売買が盛んになったと感じられた。昨今、一時下げた株価も15,000円台を回復し、為替も1ドル100円~102円と円安基調が続いている。
9月に大阪で「日本FP学会第14回大会」があり参加ささせて頂いた。「アベノミクスと関西地域経済」というテーマで日本銀行理事、大阪支店長嘱託の櫛田様からの報告もあったが、予定通り効果が表れているとの報告であった。日銀は、第一の矢の推進役であり量的・質的緩和 の成果を強調するのは立場上致し方ないことと察する。
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<日銀の量的・質的緩和>
質的:国債の他にETF・JREIT・社債も吸い上げ市中へ資金を提供
【狙い】
①金利の低下
②ポートフォリオのりバランス
金融機関の資産を変化させる(日銀が国債を大量に吸い上げることにより貸出し姿勢を強める)
③期待の抜本的変化
【効果(統計の改善)】
・株価・為替・長期金利
・マインド(業状判断DI・消費者マインド・期待インフレ率)
・実質輸出、個人消費、公共工事請負金額、新設住宅着工戸数、生産動向
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※野口悠紀雄氏の「虚構のアベノミクス」を読むと、日銀と同じデータを使って分析しても、統計の期間、トレンドの読み方によって逆の結果となるものも多々ある。そもそも、この短期間でデータから実態を読み取り確定するのは困難
であろう。要はこれからの実体経済、国民生活の改善である。
●以上はアベノミクスという日本を中心にしてモノを見たときの話であるが、世界的な視野で見てみると、昨年は、
リーマンショック、ユーロ債務問題が落ち着き、アメリカについて言えば昨年10月の量的緩和策であるGE3の実施、
シェールガスというエネルギー革命等、元気なアメリカが復活しつつあり、世界的にも経済回復のスピードが加速し始めた時である。
かなりの独断であるが、経済の回復とともに、さらにグローバル化が進み、小国の些細な出来事でもすぐに、世界へ
伝播し資金移動が即刻始まる。新興国から先進国へ、先進国から新興国へ日々刻々資金移動が発生し、一国の経済が振り回されている。運用成果等を分析していくと一国の債券よりも、グローバルな企業の株式のほうがリスクが低く安定
しているようにも見える。個人的には、分散投資については世界株式の比重を高めていく方向で考えている。
CFP 井上 昇
昨年の安倍内閣成立以降日本経済立て直しの為の「3本の矢」と言われる経済対策の実施の影響で、日本経済は少なくとも長らく続いたデフレから脱却しようとしているように見えます。日銀の黒田総裁が「2年で2%の物価上昇を達成する」とした目標が徐々に現実味を帯びてきています。
実際に平成25年6月以降消費者物価指数(全国総合)は対前年同月比6月が0,2%、7月が0,7%、8月が0,9%とプラスに転じ「これからはインフレになるな」という雰囲気が一般消費者に浸透してきているのではないでしょうか。
10月9日、日経新聞に「物価連動債の入札好調」という記事が掲載されました。それは財務省が10月8日に物価連動国債(10年物、17回債)の入札を行ったことによります。この物価連動国債は2008年8月以来5年ぶりの入札となりましたが、機関投資家の注目を集め好調な結果(3000億円の発行予定額に対して1兆1231億円の応札)となったためであります。
何故このような状況になったのかというと、「脱デフレを目指す政策の方向性が明確なことを背景に機関投資家の需要が高まったため」と専門家は分析しています。
ではこの「物価連動国債」とはどのようなものなのでしょうか?分かりやすく言うと「指標とする消費者物価指数(CPI)の動きに連動して元本が増減する仕組みです。物価が上がれば元本が増え、物価が下がれば元本が減る。つまりこれからインフレになると考える場合は、物価連動国債に投資することにより物価上昇に伴う資産の目減りリスクに備え、且つ元本の増加を確保することが出来るということです。また、今回発行された物価連動国債は償還時の「元本保証」が付いていることにより投資家がより購入をしやすくしたと言えます。
しかし残念ながら現在はこの「物価連動国債」は個人投資家では購入できません。個人が購入しようと思ったら、同国債を運用対象とする投資信託を購入することしかありません。もともと昨年までの長く続いたデフレ下ではだれも見向きもしませんでした。何故ならデフレ下では元本が減少していくわけですから。
では一躍注目されてきたこの物価連動国債対応投資信託はどのような商品があるか調べたところ、横浜銀行が平成25年9月5日より「日本物価連動国債ファンド」の販売を開始していました。販売手数料は1,05%(税込み)、信託報酬は0,4095%~0,6195%となっています。投資対象として大変興味がわきます。また、従来から販売されているものでは「MHAM物価連動国債ファンド(愛称:未来予想)」(販売会社:楽天証券等)など商品揃えは数多くあるのでいろいろ検討する材料には事欠きません。
しかし、償還時の元本保証が付いている物価連動国債を対象とする投資信託であっても、途中の解約や基準価格の変動などにより元本が全て保障されているわけではないのでここは理解しておく必要があります。
この物価連動国債というものを新たな投資先として選択の一つに加えてみることが国内債券の中での一つの分散投資になるのではないでしょうか。
ファイナンシャル・プランナー
FPオフィス あみの 代表 網野 俊
日本時間の2013年9月8日、アルゼンチンのブエノスアイレスで国際オリンピック委員会総会が行われました。そこで、2020年のオリンピック・パラリンピックを東京で行うことが正式決定しました。
ここで提案です。東京オリンピック・パラリンピックを、あなたのライフプランの重要イベントにしてはいかがでしょうか。
大会計画概要によると、東京オリンピックは2020年7月24日より8月9日まで、パラリンピックは8月25日から9月6日まで行われる予定になっています。
もし、出場を目指すのなら、当然、トレーニング計画が必要でしょう。
ボランティアとして競技の進行を手伝う人もいそうです。海外から多くの観光客が、大会を見るために東京にやってくることでしょう。都内での外国人比率が高くなりそうです。ボランティアの人はもちろん、一般の人でも英語の必要性が高まりそうです。英語に限らず、外国語を学ぶきっかけにはぴったりです。
それらと同様に、競技を観戦する側だとしても計画が必要なのです。
さて、みなさんは7年後、何歳になっていますか? まだ学生ですか? 社会人ですか? それとも年金生活ですか? パートナーはいますか? お子様はいますか? お友達はいかがですか?
競技を会場で見たい場合、チケットはいくらくらいでしょうか? 開会式をいい席で見るためには、1枚15万円とも言われています。陸上競技や水泳競技など人気種目の特等席は3万円くらい。そのほかの一般的なチケットは8000円~4000円くらいになるそうです。もちろん、遠方からの場合は交通費、宿泊代も必要です。
競技場で見るのは面倒だ、という人もいそうです。ならば、テレビ観戦はいかがでしょう? 7年後の技術革新のスピードを考えると、大画面4Kテレビや大容量録画機が手ごろな価格で手に入りそうです。
このように、時期と価格のめどという目標がわかれば、計画は立てやすいものです。オリンピックに関連する出費のために、いまから積立投資をはじめましょう。
6年積み立てを続けるとします。毎月1万円ならば72万円、毎月2万円ならば144万円の蓄えになります。これだけあれば、観戦チケットでもAV機器でも、好きなように使えそうです。
もちろん、オリンピック観戦よりも重要なライフプランがある人もいそうです。当然ですが、達成したいすべてのイベントの日程と予算がわかれば、それらをすべてライフプランに書き込んで、ファイナンシャルプランを実行すればいいのです。
東京でオリンピックが行われるのは、56年ぶりになります。2020年が終わったそのあと、次のオリンピックがいつあるか、当然ですがわかりません。私が生きている間に東京での3回目の開催はおそらくないでしょう。ならば、2020年の大会をしっかりと目に焼き付けたいと思います。
CFP認定者 松本勝晴
相続税に関する話題が巷を賑わしています。平成15年1月から相続税の基礎控除額が約4割引下げられることとなり、新聞・テレビ・雑誌などのマスメディアはこぞって相続の話題を取上げています。今まで相続税を納めていたのは100中4人位、しかし法改正後相続税を納める人は100中10人位になりそうです。こんな背景もあって、今や「終活」「遺言」ビジネス等の相続関連ビジネスは花盛りです。
先日、さきの東日本大震災で被災したご婦人から、相続相談を受けました。ご主人と家は、津波で流されすべてを失いましたが、幸いなことにご婦人は無事で現在仮設住宅で元気に暮らしております。今般、自宅の底地が残ったので、底地の相続相談にやってこられました。初対面なので時間をかけて震災の被災状況をお聞きし信頼関係が構築できたあと、相続について ( 特に法定相続 ) ご婦人がわかるように図に書いて説明してあげました。お聞きしたところご夫婦に子供はいないので、その土地はご婦人と夫の兄弟に相続されることとなるので、夫の兄弟の戸籍謄本を取寄せ相続人を確定する事から始めなければならない事をお話ししました。ところが、夫の兄弟とはすでに疎遠になっており「夫の兄弟の戸籍謄本を取り寄せるのが面倒ですね !! 」と手続きに難色を示しました。確かに、皆さん結構な年齢になっておりご主人の兄弟の子供達に相続権が移っていることも考えられます。
そこで、「遺言書」はございませんか ? と尋ねたところ「家とともにすべて流されたのでわかりません」とお答えになり、暫し言葉に詰まりました・・・、少なくとも、遺言で『妻に全財産を相続させる』としておけば遺留分を請求されることも無かったのに残念ですね、と言った後で「仮にあっても津波で流されているので何の意味もありませんね」と苦笑いしたしだいである。
普段、「遺言」など必要ないと思っている人が多いようですが、「法律事」と言うのは普段必要ありませんが、事が起こって初めて意味をなすものになります。特に、ディンクス・シングルの人は、後日の無用のトラブルを避けるためにも「遺言書」を作成しておくことをお勧めします。詳しいことは、親しくしているFPに尋ねこれからの生活にお役立てください。余談ですが、夫婦して銀行に勤めているディンクスの方は、私が「遺言書」のお話しをした後、お互いにすぐそれを作成しました。
ミスターエフピー 清野 晃
FPに初めて相談される方は、FPをただ単に「利益追求のエキスパート」というイメージを持っている方が少なくありません。そういった方は、相談した結果支出が増えるとガッカリされます。
実際にマスコミでFPが取り上げられる時、金銭的な効果だけがクローズアップされて取り上げられます。
例えば「繰り上げ返済」を取り上げた場合、返済し続けられるかどうかは無視し、総返済額軽減効果の大きい「期間短縮型」ばかりを取り上げ、月々の返済を楽にする「返済額軽減型」はほとんど紹介されません。
プランとは、個々の金融商品ではなく、総合的な仕組みです。持続・維持が可能でなければなりません。リスクを無視すれば、人は単に「最も経済的に得をするような」意思決定をしてしまいます。それではわざわざFPに相談する必要はありません。
つまりFPのプランとは、保護の視点・貯蓄の視点・成長(投資)の視点をそれぞれの家計にとって最適になるようにバランスし、設計しなければなりません。
自戒の念を込めていうと、我々FPはこの3つの視点の中で、保険商品以外の保護の手段とその説明をおろそかにしているのではないでしょうか?
例えば住宅ローンの借り換え、変動金利は金利が低いため月々の返済額は低く抑えられていますが、将来金利が上がれば返済額が増え、増額分は自己負担しなければなりません。固定金利は変動に比べ金利が高い分、月々の返済額も高くなります。その代り一定期間もしくは全期間金利が上がりませんので、変動金利との月々の返済額の差額分が、銀行を保険会社に見立てた、ローン金利の上昇に備える保険の保険料と捉えることができるのです。
ファイナンシャルプラナーにとって、リスクとは「危険」と言う意味ではなく「将来起こりうる事象が未知であることによって生じる経済的な不確実性」のことです。
FPは顧客の目的を確実に実行するため、プランの不確実な部分に様々な対策を講じています。リスクを無視して「単に最も経済的に得をする」利益だけを追求する手段を提示しないのです。
最も経済的に得をするプランが最良のプランなのではなく、最小のコストで確実に実行・達成できるバランスのとれたプランが最良なのです。
田島FP事務所
田島稔之
先月私がFP顧問をさせていただいているお客様が住宅ローンの繰上げ返済を実行しようとした時のこと、面白い体験をされましたので紹介させていただきます。
お客様はファイナンシャルプランニングをスタートして4年。順調に資産運用と贈与により資金が増えましたので、増加した資金の一部を住宅ローン繰上げ返済資金に充当することにしました。念のため繰上げ返済とは住宅ローンの返済途中でローンの全部または一部を返済する事を言います。繰上げ返済された資金は元金部分に充当され、充当された元金に対する利息の圧縮効果が期待できます。繰上げ返済には『期間短縮型』と『返済額軽減型』の2種類あり今回お客様は利息圧縮効果の高い『期間短縮型』を実行する予定でした。
繰上げ返済の時期、無理のない繰り上返済額が決定すれば手続きは簡単です。お客様の職場に日々出入りしている銀行さんに申入れすれば事は運ばれます。今回は約150万円の利息圧縮効果を期待しての繰上げ返済でした。早速お客様は私との面談の翌日に銀行さんに繰上げ返済を申入れました。その結果銀行さんから『繰上げ返済はしないでいただきたい。その代わりに来月から金利を0.5%下げます』と提案がされました。金融機関からすると信頼度の高いお客様です。繰上げ返済されることで貸付金額と利息収入の減少となる訳ですから実行してほしくないのが本音だと思います。また最近は日銀金融緩和により銀行の資金量も増えていると考えられますので、金融緩和政策も多少影響しているのか?とも考えるところです。とは言いつつ『繰上げ返済をお願いします』と申入れただけでの金利ダウンには驚きました。結局お客様には銀行さんとのお付き合いも大切にしたいという思いもあり(この辺のしがらみは地方ならではかもしれませんが…)強引に『絶対に繰上げ返済するのだ!』と突っぱねることはしませんでした。そもそも、ゆとりをもって退職前には完済できるようにローンを組んでいるため今回は有り難く金利を引き下げていただく事にしました。
今回の出来事で改めて住宅ローンはかなり設計自体に自在性があることが分かります。
自在性と言えば実は一般的には固定期間終了後、割引幅は小さくなると言われている固定金利選択型住宅ローンも交渉によっては固定期間終了後も新規扱いとなることもあります。
『では早速、私も銀行さんへ』と繰上げ返済を申し入れても『お早い返済ありがとうございます。』と言われておしまいという可能性もあります。誰でも、いつでも繰り上返済を申し入れる事で金利が下がる訳ではありません。ただこれからは金利は決まっているものだとの先入観は捨て各金融機関の情報を比較検討することが住宅資金計画には必要と言えます。
ちなみに繰上げ返済しない事をお願いされた後、当初の繰上げ返済資金で海外債券購入をご提案いただきましたが金利減だけを頂戴し債券購入はお断りさせていただきました。
ミスターFP徳島オフィス寺野裕子
5月5日から14日まで、日本からプロFP5名で NAPFA Las Vegas大会に行ってきました。3日半の日程で、朝は7時半から夕方5時半ごろまでびっしり。
今年で30周年のNAPFAのメンバー数は2600名。そのうち学生とか、シニア層の方を差し引くと2200名がFree OnlynoFPと言うことです。彼らは大きな法人に所属することなく、Soloと呼ばれる単独での事務所を持っている人が多いようです。大会は地元大学のマーチングバンドのにゅうじょうにより始まり、アメリカ国歌から始まる。毎日基調講演があり、地元ネバダ州の県知事やCNNの美人ニュースキャスターが世界情勢について解説。
私はこれまで6回はNAPFAの20倍もの会員数を持つFPAの大会に参加して来ましたが、今回のNAPFA大会はFPAの下部団体ではなく、プロフェッショナルだけの別組織です。NAPFAの会員になるためには、どうしても守らねばならない規定があります。
それが”Fee Only”。
“Fee Only”FPとは、商品売買によるコミッションを受取らないこと。収入は顧客との顧問契約により顧客から頂きます。これを支えているのがCustodianという管理会社があります。(例えば、チャールズ・シュワブとかアメリトレード、アメリプライズと言った会社)。日本で似たような組織は信託銀行がありますが、信託銀行は管理業務はしますが、FPを支えるバックオフィイス的機能はもっていません。“Fee Only”FPは誰のために業務を遂行するのかと言えば、勿論顧客の利益を守護するためです。現時点では日本では法制上の制約もありまた取扱量も少なく、カストディアンという管理会社は見当たりません。
私の名刺にはFee Onlyとは書けないので、“Fee Base”と書いて目標にしています。
今回は大会とは別に、Las Vegas近郊で事務所を開いている2名のプロFPを訪問しました。2名ともキャリアは15年以上。顧客数は1名の方は280名とか。最初の相談時までは数十時間を費やし、流れに乗ると次は3ヶ月目、6ヶ月目そして1年目と言う順序で面談を進め、顧客の資産を守る為に十分かどうかを面談して修正をかけて行きます。
日本にもこうしたFee Onlyが当たり前になって欲しいものです。
小林 治行(CFPⓇ)
これからの時代は、貯金は貯金、保険は保険、年金は年金、資産運用は資産運用とそれぞれ別々に考えては、住宅資金、教育資金、老後資金の人生の三大資金をクリアするのは難しい時代ではないでしょうか?
一方で、お金に関する情報は得やすくなり選択の幅は広がりました。
1996年から金融自由化が始まり、今では銀行でも保険商品や金融商品が扱えるようになり、各社で特徴のあるサービス・商品が生まれてきました。
そしてテレビ・ラジオや新聞・雑誌などでも金融商品や保険商品のCMがよく流れ、ネット時代でたくさんの情報が簡単に手に入るようになっています。
自由に商品を選べる反面、自己責任で正しい選択をしていくことは難しくなりました。
お金のことをトータルに考え相談しようと思っても、金融機関は、銀行、保険、証券と分断されていているし、入ってくる情報は、ネット、新聞、雑誌、テレビなど、ほとんどがセールス側からのものです。
だから調べれば調べるほど、考えれば考えるほど、自分にとっての有益な情報かどうかはよく見えなくて、どの商品がいいのか、自分にとって適しているのかわからなくなります。
どんなにいい商品も自分に合わなければ薬ではなく副作用の強い毒にもなってしまいます。
しかし今の時代は、トータルにお金のことを相談できる場所もないし、沢山の商品の中から正しい選択をしていくのは難しいのが現実です。
このような時代に頼りになるのが、我々独立系ファイナンシャルプランナーです。
ご相談者に寄り添い問題や不安を共有し、問題解決のためのマネープランを一緒につくり、プラン実現のためのベストな選択をし、末永くトータルなサポートをしてくれる、そんなお金のコンサルタント、FPのニーズはますます高まるでしょう。
これからは一家族に一人、お金のコンサルタントの時代です。
田辺FPオフィス 田辺浩之
昨年11月14日の衆議院解散以来、アベノミクスの期待感から日経平均株価は約40%上昇し、為替はドル円で15円ほど円安になりました。
政府・日銀は、物価上昇率2%を目標とすると具体的な数字を示し、日銀総裁人事においても金融緩和積極派の就任が決まり、脱デフレに向けたシナリオが進んでいます。
家計部門でも資産市場の上昇や、安倍首相が業績好調な企業に求めている賃上げに応じる動きが産業界に広がりつつあることなどから、やや明るさが見え、消費者マインドも上昇しています。
このような状況下で、2014年1月から「日本版ISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)」がスタートすることになりました。
日本版ISAとは、年100万円を上限に株式や投資信託を購入した場合、5年間は通常なら20%かかる売却益と配当への税を非課税にするという仕組みで、所得制限などはなく、満20歳以上なら誰でも口座を開設できるというものです。
もう少し詳しく、世代別の使い方を見ると以下のようになります。
●30~40代(資産形成世代)
① 月次積み立ての併用。(複利効果を最優先)
② 当面は積み立て額が非課税上限100万円を下回っても許容。(投資信託を活用)
③ 夫婦で口座を作り非課税枠を少しでも多くする。(分配型よりも成長型の投資信託を重視。)
④ 5年後に引き出さず、6年目の非課税口座に再投資し、100万円の残高を目指す。(ハイリターンの追及が可能)
●50代~ローオーバー世代
①非課税上限100万円に出来るだけ近い投資額で投資する。(長期より5年後の収益を重視。)
②5年間の運用で100万円を上回った分を5年後に取り出し、100万円分は6年目に再投資。(ミドルリスク・ミドルリターンを志向)
③子供の口座も活用し、生前贈与の計画。
●60代以降~資産活用世代
①夫婦それぞれの非課税口座で総額1000万円を利用。
②資産形成よりも取り崩すための資産活用を重視。
③非課税で分配金の手取りを多くする。
デフレ時とインフレ時においては、お金(資産)に対する考え方を変えなければならないことを理解していただき、日本版ISAが、30代40代の資産形成層の長期投資を始めるきっかけ作りや、50代60代の年金の補完資金のフローを作るリタイアメント・インカムの確保策として、広く認知されるようになれば、ファイナンシャルプランニングに対する意識も向上するはずです。
日本版ISA等により、家計からの成長マネーの供給拡大が達成され、日本の個人金融資産から日本の成長戦略に寄与する資金が増えることを期待します。
堀本FPマネジメント 堀本昌彦
お正月ごろのテレビで、海外ファンドの長期積立に関するCMをご覧になった記憶のある人もいるかと思います。「30年後の1億円のために、今できることがある」というメッセージがとても印象的でした。
老後の夫婦の生活費として1億円以上のお金が必要だ、という話はよく聞かれます。その根拠は次のとおりです。
・ゆとりある夫婦の老後生活費 月額36.6万円
(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」平成22年度版による)
・65歳夫婦の、妻の平均余命 23.66年
(厚生労働省「平成23年簡易生命表」による)
これらを、単純に掛け算した結果が、次のとおりです。
36.6万円/月×23.66年×12カ月=約1億400万円
FPのコンサルティングでは、実際の夫婦の生活費、何歳まで働いて収入を得るのか、年金そのほか収入など、個別の事情を細かく確認するため、実際には1億円を蓄える必要はないはずだという結論になります。
ですが、蓄えが多いほうが安心だという真理もあります。そこで、ここからは30年で1億円の資産を本当に積み立てられるのか考えてみます。
まずは、一番単純なタンス預金で考えます。当然、金利では増えません。単純な割り算で求められます。
1億円÷30年÷12カ月=27万7778円
さすがに現金のみで1億円を積み立てるのは現実的ではありません。ここからは運用の出番です。
30年間積み立てる場合、期待利回りがどれくらいあれば1億円に到達するか計算してみます。毎月の積立金額ごとに次の通りです。計算はExcelのRATE関数を利用しました。
毎月積立額 必要利回り
3万円 12.13%
5万円 9.58%
10万円 5.97%
たしかに、計算上はこの条件で1億円蓄えられます。問題は、この積立額および必要利回り(期待利回り)は現実的なのか、ということでしょう。ちなみに、現在の長期金利(新発10年国債利回り)が約0.68%。アセットアロケーションを設計するさいに使う期待利回りも、国内株式で5.3%、外国株式で6.0%です。当然ですが、公的年金のように40年もの積み立てを想定するなら、必要期待利回りがもっと低くても1億円を達成できます。
テレビCMを見て、海外ファンドならば日本に紹介されていない高期待利回りの商品があるかもしれない、と思うかもしれません。もう少し冷静になって、まずはもっと身近なFPに相談してみたほうがよいでしょう。
なお、野村総合研究所による最新の富裕層に関する調査によると、日本国内で純金融資産1億円以上を保有する世帯は81万世帯だそうです。これは、全世帯のおおよそ1.6%です。1億円を蓄えるのは、それほどハードルが高いのが現実です。
CFP®認定者 松本勝晴
昨年1年私は日本ミャンマー文化経済交流協会の仕事ですが、11回ミャンマーを訪問しました。 2012年1月に協会が設立され、2月にヤンゴンに事務所を設置しました。
(公式サイト) 日本ミャンマー文化経済交流協会
ミャンマーはアジア最後のフロンティアともいわれ、その人口の多さ(6200万人、タイとほぼ同じ、カンボジア・ラオスなどの6倍以上)、地下資源の多さ(ルビー・翡翠などの宝石類、天然ガス、レアメタルなど)、賃金の安さ(東南アジア再低、中国のおよそ3分の1~5分の1)など、日本企業にとっては大いに進出価値のある国です。 また、東は中国、タイ、ラオスと接し、西はインド、バングラダッシュと接している要衝の地として各国が関心をもつ国です。
外国で「NATO」とよく言われる日本、意味はNot Action Talk
Only、つまり話は良くするが、アクションがない。 日本の行動の遅さを象徴している言葉です。 ところが、ミャンマーだけはいち早く一昨年玄葉外相が訪問し、昨年年初めには枝野経産相が、また経団連、日商も使節団を送りました。いわば、国家、経済界、中小企業、全員がこぞってミャンマーを目指しています。 この3日に麻生副首相兼財務大臣が訪問し、テイセイン大統領と会談したことは自民党に政権は変わったものの、引き続きミャンマーに注力していくことを表明するためでした。
特に、尖閣列島で中国と日本との軋轢が出てきた今、中国から工場をミャンマーに移したい、あるいは中国に生産委託しているものをミャンマーに移したいという企業が非常に増えています。 賃金だけで3分の1~5分の1、その上、日本人を嫌いな中国人と付き合うのと、日本人が大好きなミャンマー人と付き合うのとでは大きな違いがあります。 また、タイ人やフィリピン人などの東南アジア諸国と比べミャンマー人は良く働きます。 驚くのは女性だけでなく、男性も勤勉なことです。
これだけ、国家、企業を挙げてミャンマーに進出を志している日本ですが、現地にいるとやはり「NATO」だなと、悲観することが良くあります。 ミャンマーに関しては日本企業は頑張っている、しかしそれでも遅い。 日本大使館と話した時、ある参事が「言い過ぎかもしれないが、何しろ早く、中身が確約できない覚書でもいいからミャンマー側へ進出意思を示してほしい」と言われていました。 せっかく国を挙げて進出を援助しているのに、具体的に動けない日本企業を嘆いたものです。 また大使は「早い者勝ちです」と。 大使の口からこんな言葉が出るとはちょっと驚きました。
慎重に事を運ぶことはもちろん良いことですが、儲けるためにはリスクも取らなくてはなりません。 リスクを少なくすることは必要ですが、リスクを取らずに儲けることはできません。 このリスクをどうとるか。 これが日本企業の下手なとこです。 リスクはトップダウンでなければとれません。日本企業はボトムアップはすごいが、トップダウンがへた。 こんな現状を現場(ミャンマー)で見ながら、日本企業の進出を援助しています。
エフピープラネット代表 井畑敏
駅前やデパートなどで、多くの生命保険(生保)会社の保険商品を取り扱い、相談などが受けられる来店型保険ショップを見かけることが増えてきました。
生命保険といえば、生保会社の専属営業員の訪問を職場や自宅で受けて、たまたま提案を受けた商品にそのまま入るというのが一般的でした。少なくとも20年前まではそうでした。それが、複数の生保会社の商品を扱える乗合型生保代理店が登場してから、様相が一変します。当然、来店型保険ショップの多くが、乗合型生保代理店です。顧客は、生保営業員の訪問を受ける側から、来店型保険ショップを訪問する側に変わりつつあるのです。
乗合型生保代理店のメリットは、多くの生保会社のあらゆる商品を比較できる点です。各生保会社の戦略により、年齢、性別、家族構成、既往歴など、どんな条件の顧客を重視するかが異なります。つまり、例えば年齢以外の条件が同じだとして、20代ならばA生保会社の保険料が有利だが、50代になるとB生保会社の保険料のほうが有利だ、などという違いが現れます。乗合型生保代理店であれば、複数社の生保商品を比べて、いちばんよいと思えるものに契約することができる、というわけです。
デメリットも当然あります。生保代理店がA生保会社の商品を取り扱うのは、A生保会社と生保代理店との代理店契約によるため、突然、A生保会社の商品の取り扱いが停止される、ということがあり得ます。顧客から見れば、なじみの生保代理店が急に使えなくなり不便そうですが、生保会社にとっては、顧客の契約者としての権利さえ守れているならば、顧客の生保代理店の窓口が変わってしまっても問題ない、というのが本音です。
忘れがちなのは、生命保険は、原則として生保会社と保険契約者が直接契約を結ぶものだという点です。生保代理店はその媒介をしているに過ぎません。つまり、申込書類やパンフレットの取次、保障内容の解説、手続きのアドバイス、書類の預かり、生保会社への書類の送付をするだけです。これは、申込時はもちろん、保険金請求時、さらには解約時も同様です。いずれの場合も、生保代理店はあくまで媒介しているに過ぎません。各種請求書類が生保会社に確実に届いて、そこからが手続きのスタートだ、ということです。
当然ですが、生保代理店は手続きが速やかに始まるように最善を尽くします。しかし、契約者の申し込み内容を手続きするのはあくまで生保会社であり、生保代理店ではありません。どんなに生保代理店が誠意をもって対応したとしても、保険契約者の提出する書類の内容によっては、生保会社は契約を断りますし、保険金を支払わない決定をすることもありますし、解約を認めないこともありうるのです。
特に、解約を決意したときに、自分が保険会社と契約していることを忘れがちな契約者が多いように思います。口頭で生保代理店に解約を伝えても、それで解約手続きが始まるわけではありません。ましてや、解約を伝えた当月の保険料引き落としは止まりません。生保代理店は契約者の解約の意志を確認したら、できるだけ素早い手続きを進める手伝いをするだけです。
乗合生保代理店の、商品比較が可能という利点が強調されがちですが、保険は契約しただけで終わりではありません。乗合生保代理店ができないこと、限界も知っておく必要があるでしょう。
Mr.FP 松本勝晴
顧客の資産を守るべき者が、顧客のことより自分の利益を優先するケースが目に余ります。
2012年6月、AIJ投資顧問が資産運用に失敗したのは詐欺だとして4名が逮捕されましたが、年金基金より委託された1984億円の大半は消滅してしまいました。そして預り資金が殆どなくなっていたのに役員たちは7000万円の報酬を受取っていた事を、悪意はなかったと国会で発言しています。ケイマンとかタックスへブンとかの業界用語を並べたてたあげくに、240%の運用利回りなどというありえない数字を報告書では誇示していました。投資顧問という、顧客の投資のアドバイザーたるべき立場を大きく逸脱したあるまじき行為ですが、このようなお金の流れを可能にする現行の制度も大いに問題があるといわねばなりません。
もう一つの事例を紹介しましょう。或る相談サイトで、52歳のリストラを受けた男性が、それまでの500万円の年収が300万円に減収になりそうなケースに対して、危ない海外のハイリスク商品が勧められていました。又月収27万円の子ども一人の夫婦の相談に、いきなり日本は低金利のため学資保険では増えないとの理由で解約を勧め、その対案として10%の複利海外運用を勧め、子どもが18歳の時には2000万円の資金がたまると、個別商品名まで列記したアドバイスがされていました。中には200%の投資運用利回りが得られるというお勧め商品も提案されていました。
顧客が何を求めているかに関わらず、その理由も明示しないで、リスクも説明もせず、根拠も示さずに月収27万円の人に日本の学資保険を解約させて、訳の分からない海外ファンドを勧めるとは驚くばかりです。
金融商品取引法では顧客の利益を守る為に、投資の経験の無い人や低所得者層に高リスクの商品を勧誘してはいけない
という規定があり、これを経済性の原則、適合性の原則と云いますが、上記の回答などは明らかに金融商品取引法違反で
しょう。
このように最近巷でマネーを扱う者の倫理の欠如が目に付きます。
高い倫理性を常に求められ、常に中立の立場に立ち日々実践している私どもミスターFPの立場としては忸怩たる思い
です。
また一方で、リスクとリターンはイコールだという原則、即ち「うまい儲け話などというものは無い」のだという原則を、
投資に係わるものはもちろんのこと、一般の皆様も最低限理解しておかなければならないと思うのです。
Mr.FP 小林収行
最近、住宅ローンが新聞・雑誌・テレビ等のマスコミで話題になっている。6月12日の日経新聞1面に「住宅ローン金利最低水準」と言う見出しで、「金融機関が住宅ローン金利の引き下げを加速している・・・」と言う記事があった。この記事を読む限り金融機関の住宅ローン金利競争は激化しており、今が低利で住宅ローンを借りるチャンスですよ、と思わせるような記事になっていた。
そして、今なぜ銀行が住宅ローンを推進するのか ? その理由も詳しく書いてあり、金利引き下げ効果は消費者にとっても余裕資金を新たな消費に振り向け経済を活性化させる効果があり、まさしく銀行にとっても消費者にとってもいい事ずくめであると言う内容になっていた。
一方、日銀は、銀行による住宅ローンのリスク管理の甘さが同ローンの貸出競争につながっているとして、2012年事務年度から日銀考査を厳格にすると発表した。ちなみに、2011年12月末の銀行の住宅ローン融資残高は105兆円を超え銀行融資全体の1/4を占めまでになっている。そして、日銀は将来住宅ローンが不良債権化することを懸念している。通常銀行は住宅ローンをエクスポージャーで保全しているが、これも銀行のさじ加減でどうにでもなる。従って、銀行が住宅ローンの審査を緩くすればローンは増えるし、厳しくすればローンは減少する。いずれにしてもさじ加減で融資をされて困るのは消費者である。
先日、マンション購入相談に来られたお客様が、金利が安から賃貸マンションに住むよりマンションを買った方がいいですよね、と問いかけてきた。確かに、金利は安い、しかし、この低金利が永遠に続くという保証はありません。いずれ反転することがあるかもしれませんよ、と言い過去の住宅ローン金利の推移を説明した。そこで、お客様に金利の高い・安いの根拠は何ですか ?
と尋ねると新聞・雑誌・テレビ等に金利が安いと書いてあったから、と言う。この言葉を聞いた瞬間、ここにもマスコミに踊らされてるお客様がいる、と唖然とした。
そこで、家を買うと言うのは、金利の安い高いで決めるのではなく、なぜ住宅が必要なのか ? 今の生活で住宅ローンを払っていけるのか ? そして家を買っても将来の備えはできているの ? よく2人で相談してから購入した方がいいですよとアドバイスした。
先日、消費税引き上げ法案が衆議院を通過した。そしてまた、消費税引き上げ前に住宅を購入した方がいいのか ? 引き上げ後がいいのか ? こんな記事がマスコミをにぎわしているし、小生の所にも相談があった。
こんな時代だからこそ、信頼できるFPと出会い、ライフプランニング表から自分のライフプランを見据えて住宅を購入することをお勧めしたい。
Mr.FP 清野 晃
近頃『消費税が上がる前に住宅購入に踏み切ろうと思ってるのですが購入するべきですよね?』といった相談が増えてきました。新聞の折込チラシにも最近『消費税アップ前に…』なんて文言が随分増えてきていますので、しばらくは住宅購入関する相談が多いかな?と感じています。
では消費税増税を機会に駆込み購入をするべきなのでしょうか?まずは増税額を見てみます。例えば2000万円の建物購入時、税率5%の場合、消費税は100万円です。2014年4月の税率8%が決定すれば160万円、2015年10月の10%が決定すれば200万円となります。この差は確かに大きいです。でも『2014年4月までに購入すべき?』の問いに対する答えは『NO』です。
住宅の買い時を判断するには『世間的な買い時』と『ご自身の買い時』の2方向から行うことになります。
『世間的な買い時』の判断とは金利が低い、住宅ローン控除等の優遇税制がある、住宅価格が下がっている等の環境から考えることを言います。一方『ご自身の買い時』の判断とは、貯蓄残高、今後の収入、子どもの教育資金、老後資金、転勤等々、今後のライフプランを含めて包括的に考えることを言います。『世間的な買い時』と『ご自身の買い時』どちらが大切かと言えば、それは『ご自身の買い時』です。
『ご自身の買い時』の判断が出来ていなければ夢のマイホームが今後のライフプランの足かせになる可能性があるからです。頭金の準備状況、今後の収入予測、ローンがライフプランを圧迫しないか等を検証して大丈夫となれば『ご自身の買い時』はOKとなります。
現在『世間的な買い時』としては、例えば固定金利フラット35を確認してみます。2012年5月(21年以上35年以下)最多採用金利は2.07%と低水準と言えますし、さらに『フラット35Sエコ』という金利引下キャンペーンも行っています。住宅ローン控除も2013年まで現段階では利用可能です。住宅価格は今のところ上昇しているとは言えない状況です。ただ住宅価格について消費税に関連して考えられるのは、私の推測であり、あくまでも可能性ですが消費税増税が引金となり駈込みで住宅需要が増え価格が上がる可能性はあります。消費税がアップする前に急いで住宅購入して、実は高掴みしてしまってたなんてことも無きにしも非ずです。消費税アップ後には需要が低迷して住宅価格下落なんてニュースも流れてくるかもしれません。あくまで私の妄想ですが…
結論としては消費税アップするから駆込み購入するという行動はしないでいただきたいということです。
でも消費税アップを検討時期として住宅購入へGOというの考えていけないことではありません。
消費税増税は『世間的な買い時』から考えれば購入を決断する一つの大きな要素となりますからね。
低金利、価格下落、優遇税制、消費税増税間近となれば『世間的な買い時』であると言って良いと思います。
後は、『ご自身の買い時』次第です。
頭金は十分に用意できていますか?教育資金、老後資金の準備はローンを支払いながら出来そうですか?等々のことを考えていく必要があります。
『ご自身の買い時』を判断するためにはどうすればいいでしょうか?と聞かれればファイナンシャルプランニングを行ってくださいとお答えします。
今後のお金の流れをしっかり把握する作業を行い『ご自身の買い時』判断を行って下さい。
今後はますます『消費税が上がる前に…』といったセールストークが飛び交うかと思います。住宅は大きな買い物です。セールストークに惑わされてはいけません。一に『ご自身の買い時』、二に消費税も含めた『世間の買い時』ですからね。
Mr.FP 寺野裕子