Fiduciary Duty
フィデューシャリー(受託者)が負う様々なデューティ(責任)
2017年4月、金融庁の森長官が日本証券アナリスト協会のセミナーで「日本の資産運用業界への期待」と題して基調講演を行っている。
「企業が顧客のニーズに応える良質な商品・サービスを提供し続けることが、信頼に基づく顧客基盤を強固なものにし、供給者である企業の価値向上につながることは、金融機関のみならず、およそ全ての企業に当てはまる原則だと思います」
上記に続いて、資産運用の分野でも顧客に成功体験を与え続けることが、金融機関の評価を高め、顧客、金融機関双方の価値を創造していくことが経済や市場の発展につながるとし、ある思想家の書籍を引用して、個人が投資で成功するための秘訣として以下の項目を挙げている。
【個人投資家の成功秘訣】
・ゆっくりと、しかし確実にお金を貯める秘訣は再投資(複利)と認識する
・市場の値上がり、値下がりを気にかけず、一定額をこつこつと投資する
・資産タイプの分散を出来るだけ図る
・市場全体に投資するコストの低い「インデックスファンド」を選ぶ
ここまで来て読むのをやめた。Fiduciary Dutyを欠いて商品販売に走る金融機関の叱正と、来年1月からの積立NISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)の推奨をしているだけだと感じたからだ。個人投資家は眼中にない。
当然といえば当然。金融庁のミッションは、我が国経済の再生と活性化のために、不良債権問題を解決して、構造改革を支える強固な金融システムを構築することであり、そのために必要なのが「貯蓄から投資へ」という言わば経済の動脈となる資金の流れである。
http://www.fsa.go.jp/common/about/fsainfo.html(金融庁について)
長年FP相談を受けてきた経験から、お客様は千差万別、FPに期待する Fiduciary Dutyは天と地ほどの差があると言っていい。ある方は感謝感激でも、ある方にとっては、全く痒いところに手が届いていないということがしばしばある。
我々FPはFiduciary Dutyを金融庁のように掲げるだけでは何の意味もない。
個々のお客様がFPに望むFiduciary Dutyは何かをそれぞれ検討し、責任を持ってその役割を果たすことが大切になる。
そこで、FPのお客様である皆さんに提案したい。ご自分が担当FPに望む「委託者としての権利」を主張してみては如何だろう。お客様がFPに何を望むのかが明確になることで、新しいクリアな関係が構築されるかもしれない。
井上 昇( ㈱VLIP 代表取締役、CFP® )