ロボ・アドバイザーの出現で、改めて考えるFPの存在意義
9月26~28日、今年もボストンで開催された米国のFP協会カンファレンスに参加してきました。
2009年から毎年のように米国のカンファレンスに参加をしていると、その年のトレンド(流行り)があることに気づきます。ある年は、顧客とのコミニュケーションの取り方であったり(そういう年は運用の成績が良くない年が多い)、ある年は、流行りのスマートベータ(※)の話であったりします。こうした資産運用先進国・米国におけるファイナンシャルプランニングのトレンドを把握するのも、興味深い作業です
さて皆さん、今年のトレンドは何だったと思いますか?
今年のトレンドは「ロボ・アドバイザー」の存在です。米国では、最近運用ポートフォリオに関する助言を、人間ではなく機械(主にwebサイトですが)が行うことが増えています。
例えば、Betterment, FutureAdvisor, Wealthfront等が最近出てきたメジャーな企業です。こうした会社では、個人の顧客のライフプランやリスク許容度などを、質問から自動的に判断してその個人にあった運用ポートフォリオを提案して、資産運用代行をしてくれます。
これまで対面のアドバイザーの資産運用に関する報酬(Fee)は1%程度が、米国での定価ですが、このロボアドバイザーでは
Betterment 0.5% https://www.futureadvisor.com/content/pricing/investment-management
FutureAdvisor 0.15% https://www.betterment.com/pricing/
Wealthfront 0.25% https://www.wealthfront.com/our-low-fees
と対面のアドバイザーの半分以下の価格設定になっています。
そこで、既存のアドバイザーとしては、価格に見合った付加価値を産みださなければならない状況になりつつあるというのが、今年のテーマとして扱われていました。
ちなみに、日本でも、
お金のデザイン社 http://service.money-design.com/
エイト証券 https://www.8securities.co.jp/8Now/jp/8Now.php
などが同じロボ・アドバイザーのコンセプトでサービスを提供し始めています。
日本でも、大手金融機関⇒独立系のアドバイザー⇒ロボ・アドバイザーという変化が生じるのでしょうか?
私も、大手金融機関でもなく、ロボットでもない独立系のアドバイザーの一人として、顧客にどのような付加価値を与えられるのか、しっかりと考えていきたいと思います。
株式会社マネーライフプランニング 小屋 洋一(CFP®)
(※)従来の時価総額型の指数のように市場全体の平均や値動きを代表する指数ではなく、財務指標(売上高、営業キャッシュフロー、配当金など)や株価の変動率など銘柄の特定の要素に基づいて構成された指数。中長期的に市場平均を上回るようなパフォーマンスを期待する指数として、年金運用やETF(上場投資信託)などの連動指数として採用され始めている。