REITの魅力 その商品性と順風の金融環境
世界のREIT市場は多様性を持っています。日本でも最近、ヘルスケアREIT第1号が立上がったばかりです。REITのメリットは利益の90%以上を配当する場合、税制面の優遇措置を受けていることです。*
REITはその仕組み上、分配金利回りの高さなどがメリットとなり、概ね世界株式を上回っています。昨年前半の実績では世界株式 2%、グローバルREIT 13%となっています。(ドルベース5/20まで 日興アセットマネジメント調べ)
いつも株式に勝っているという訳ではありません。サブ・プライムローンで世を騒がせた07年、08年は株式の値下がり以上に値を下げましたから、安心資産とは言えません。しかし、回復が早い。フィデリティー資料によれば、昨年7月までの10年間のUS REITのリターンは9.6%。同じ期間のS&P500は8.0%でした。ちなみにTOPIXは3.0%。(米市場はドルベース)
REITは内部留保はほとんどないので、資金は手持ち現金、株式、借入金になります。借入金で困るのは金利が上昇すること。米国では今後財政引き締め期に入り、本年年央には政策金利がアップしそうです。但し、金利が上昇することは経済も活気することですから、悪いだけではありません。日本は金利も足元10年物で0.3%さえ下回るかという状態です。今後もこんな状態がまだ続くでしょう。
ドル/円為替も米国と日本の財政比較からみて、米国の優位性は変わらず、ドル高基調はそのまま。更に米国はシェール原油により、輸入国から輸出国に転換するほどの恩恵が今後さらに強まります。
J-REIT の分配金利回りは現状3%台前半ですから、国債に利幅を取れない金融期間、特に地方銀行の需要は強いようです。
*REITは利益の90%以上の利益を配当する場合、その配当金額に相当する利益について
法人税が非課税になるという税制上のメリットはありますが、投資家への配当金の段階では課税対象になります。(資料:フィデリティー USリート資料)
米国と米国以外のREIT市場の比較 |
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米国 |
米国以外 |
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時価総額 |
62.3兆円 |
オーストラリア |
8.8兆円 |
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日本 |
8.6兆円 |
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英国 |
6.3兆円 |
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フランス |
4.6兆円 |
銘柄数 |
144銘柄 |
オーストラリア |
27銘柄 |
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日本 |
46銘柄 |
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英国 |
17銘柄 |
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フランス |
9銘柄 |
REIT導入年 |
1960年 |
オランダ |
1969年 |
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オーストラリア |
1971年 |
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カナダ |
1993年 |
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日本 |
2000年 |
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フランス |
2003年 |
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英国 |
2007年 |
主な業種 |
多種多様な9業種 |
欧州・オーストラリアは小売セクターの比重が高い。 |
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102円/$で計算 |
2014年7月末現在 |
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注)この資料は個別銘柄を推奨するものではありません。投資は個人責任でお願いいたします。 |
株式会社コバヤシアセットマネージメント代表
小林 治行(CFP・1級FP技能士)