マクロ経済スライド発動!!(平成27年度公的年金)
1月30日、平成27年度の年金支給額が発表されました。今年度は「マクロ経済スライドの発動」「名目年金額の16年ぶりに引き上げ」等の動きがあり、注目すべき年といえます。
現制度では、支給される年金の国民年金(老齢基礎年金)の部分は65歳になると支給されます。ただし、25年以上にわたって年金保険料を納めなければなりません。年金法改正案では、10年以上納めれば支給されることになっていたのですが、今年はこれが見送られました。
満額(平成27年度、780,100円)をもらう為には40年間(480か月)保険料を納めなければなりません。保険料を納めた期間が40年に満たなければ、その期間(月数)に応じて支給される年金が減額されます。
会社員は厚生年金に加入しています。会社と従業員が折半で年金保険料を納め、65歳になると厚生年金と国民年金を受け取ることになります。公務員などが加入している共済年金も同様です。この共済年金は今年の10月には厚生年金に統合される予定になっています。
また、専業主婦は夫が会社で厚生年金に加入していれば、自動的に、国民年金に加入することになります。厚生年金に加入していない自営業の人は、国民年金のみの支給となりますので、会社員に比べると年金額がかなり低くなります。
ところで、この国民年金の支給額は毎年少しずつ変わっています。今年は昨年より0.9%、上昇しています。少子高齢化で年金の財源が厳しいと言われているのに何故でしょうか?
毎年度の年金額を決めるロジックは複雑です。簡単に説明すると、物価の上昇率から少子高齢化等で財源が厳しくなる分(マクロ経済スライドという)を割り引いて年金額を決めるというものです。
例えば物価上昇率を2.7%(平成26年平均の全国消費者物価指数)とすると、先ず物価上昇率から①名目手取り賃金変動率2.3%を導き出し、そこから③マクロ経済スライド調整率0.9%を引いて(今年初めて適用)、さらに過去のマクロ経済スライドを発動できなかった調整率(特例水準の段階的解消)0.5%を引いた0.9%が年金支給額の増加額になるという訳です。式に書くと次のようになります。
2.3%(賃金変動率)−0.9%(スライド調整率)−0.5%(特例水準調整率)=0.9%
まあ「多額の借金を抱えていて財政が厳しくあまりあげられないけれど、物価も高くなるから少しは上げてあげるよ」と言ったところでしょうか。
物価が既に上がり始めています。年金受給者も年金だけに頼る生活よりも、新しい生き方を見つける努力も必要と感じています。
FPミモザ 田代美由紀