2015年7月号は、MrFP 井上昇さんです

ギリシャ、ギリ、ギリの選択


返済期日次々迫る 14日のサムライ債110億円強

201574日の日経ネット】

 ギリシャの国際通貨基金(IMF)に対する債務15億ユーロ(約2100億円)返済(630日期限)は遅延し、欧州連合(EU)との金融支援交渉が決裂状態になり、債券の価格は急落している。元本の半値程度での状況である。ギリシャのデフォルト(債務不履行)回避は一段と困難な情勢になった。

借金を返す原資が細る中で、ギリシャには次々と返済の期日が訪れる。3日には海外で発行した債券の約5億円の利払い期日を迎えた。14日には円建て外債(サムライ債)の償還が控えている。支払いが滞れば格付け会社が債務不履行(デフォルト)とみなして、金融市場に混乱が広がる恐れがある。

 14日に償還予定のサムライ債は20年前に日本の個人や機関投資家に販売された。今でも110億円強

が残っている。発行額はそれほど大きくないが、返済がなければ格付け会社がデフォルトとみなし、ギリシャ債の価格がさらに急落する恐れがある。第一生命経済研究所の田中理氏は「スペインやポルトガルなどの南欧国債にも懸念が波及し金融市場が動揺する可能性がある」と指摘する。

 サムライ債以外にも10日に20億ユーロの短期国債の償還が予定されている。20日は欧州中央銀行(ECB)が保有する国債35億ユーロの償還期日だ。8月以降も短期国債などの期日が相次ぎ到来する。

 国民投票で「緊縮賛成」となっても、返済資金を速やかに用意できるかは不透明だ。サムライ債の管理事務を担当しているみずほ銀行は、返済がなかった場合は公表する予定だ。

 

【要約・補完】 

結果 国民投票は「緊縮反対」となってしまい、この状況でギリシャは14日のサムライ債の償還を迎えます。110億円は額としてはが小さいものの、債権者が個人投資家や地銀のため、待ったなしにデフォルト宣言する可能性は大です。

IMFやECBについては、日本に置き換えて考えれば日銀が金融機関の債務の滞りに対してどう対応するかのようなもので、落としどころを見つけてうまく決着をつけるでしょう。しかし、サムライ債の債権者はそんな悠長なことは言っていられません。個人や地銀です。

日本の株式市場は需給関係が非常に良好で、ギリシャの影響を受けているといっても日経平均は2万円台をキープしています。今後、さらにGPIFや郵貯の資金10兆円が投入されてきますので、調整は入るものの、8月に入れば落ち着きを取り戻し、ジャブついた資金が投資へと向かい22,000円を超えてくるだろうと私は予想しています。

いずれにしましても、リーマンショック時との大きな違いは、損失の額も小さく、且つその影響範囲が明確なことです(リーマンショックは影響範囲の特定ができず、不安がなかなか消えませんでした)。従って、個人的には、ギリシャ問題は金融環境にはほとんど影響はなく、むしろ次の拡大ステップへの序章と とらえています。

CFP 井上 昇 

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