10月号は事務局から

ライフプランは住宅や教育のためだけじゃない! 

  一生をこだわって生き抜く羅針盤

 厚生労働省の集計によると、91日現在、日本の100歳以上の人口は6万7,824人。前年から2,132人増え、47年連続で増加しているそうです。ファイナンシャルプランナーがお客様の将来の収支を分析するとき、よく「99歳まで」のキャッシュフロー表を作ります。「99歳までみておけばまず大丈夫」、裏を返せば「100歳までは生きないだろう」ということが共通認識としてあるわけですが、そうともいえない状況になってきました。いまや「99歳までしか生きないなんて失礼な!」とお客様にお叱りを受けるかもしれません。

そんな長生きの時代を見据えてか、最近、企業で社員向けにライフプランセミナーを行いたいというニーズが増えています。人事の方に話を聞くと、年金についての知識や医療・介護についての備え、少しでも有利な資産運用はどうしたらよいか等々、盛り沢山な要望があがってきます。

それがライフプランなのでしょうか。インフレになっても増えそうもない年金収入、きっとこの先増えるであろう医療費など仕方のない出費、ローリスク・ハイリターンの金融商品など存在しない資産運用、これら厳しい現実を直視することで将来設計のきっかけになればよいですが、本来は順番が逆です。夢や希望があってこそのライフプランです。生活を守るためという発想ではなく、積極的に楽しく生きるためにどうやって資金を捻出するか、やりたいことを実現するための前向きな資金計画を考えたいです。

60歳の人の平均余命は男性23.67年、女性28.91年です。それを長いと思うか、短いととらえるのかは人それぞれでしょう。余生というにはあまりにも長い60歳以降の時間をどのように過ごすか、個人個人が決める時代です。

それまでの人生はほぼやるべきことが決められていました。年齢に応じて学校に通い、卒業したら仕事に就いて働くのが当たり前。仕事や子育てなど目の前にはやらなくてはいけないことが山積みで、自分が何をしたいかを考える余裕などありません。定年後は少なくとも「働くのが当たり前」という社会通念からは解放されます。仕事をするのか、どれくらい働くか、自分で決めていいのです。自ら選択することに慣れていない人にとって、自分で決めなくてはいけないという状況はむしろ大変かもしれません。だからこそ、早めに考えて準備しておくことが肝要なのです。

「住宅ローンも終わったし子どもも独立したから、もうライフプランなんて関係ない」というご意見もいただきますが、それは大きな誤解です。自由な時間が増えるほどライフプランが必要になります。誰でも定年後の24時間をどう使うか、日々の行動計画を考えるはずです。その積み重ねがライフプランです。

大きなライフイベントは思いつかないという方は、これからの暮らしを思い描いてみてください。食材は有機栽培の野菜がいい、最新の家電製品を揃えたい、ペットを大事にしたい、新たに習い事を始めたい、シニアボランティアをしたい…。ちょっとしたこだわりがあったりしませんか。自分のこだわりを大切にする暮らし方を実現するための資金計画、それは立派なライフプランです。

FPはお金の専門家ですが、お金だけの専門家ではありません。生活の中でお金が絡まないことはほとんどないといっていいでしょう。一人一人、自分にとって大事なことは違うはずです。その背景からじっくりとお話を聞き、一緒にライフプランをつくりあげていくのがFPの仕事です。「これはFPに相談していいのかな?」と迷うような場合も、ぜひお気軽にFPにお声掛けください。                       (ミスターFP事務局)

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