2015年3月は、Mr.FP 小林治行さんです

 GPIF 第3四半期運用結果と投資期間研究

1. GPIFの第3四半期運用結果

去る227日、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が平成26年度第3四半期の運用状況を発表しました。ここで、注目すべきは第3四半期という期間のことです。GPIFは昨年の10月に、それまでの国債主体である保守的な運用方針からパッシブ型の運用方針とすることに方針を転換し、その運用成果が注目されていました。

結果第3四半期は、国内外の株式及び外国債券の上昇等により、+5.16%となり、その収益額は+66000億円となりました。第3四半期末の運用資産額は、137兆円。

第1-3四半期では、収益率は+9.96%、収益額12.4兆円となっています。

仮に第4四半期が0だったとしても(そんなことはないとは思いますが)、平成13年度からの運用実績を見ると平成22年度の11.2兆円が過去最大ですから、今年度は史上最高を記録するものと期待されます。

その主な勝因は内外の株式市場の上昇にあります。更に株式比率を引き上げたこと。GPIF資料によれば、昨年9月を100としたベンチマーク指数が、日本株式(TOPIX)は+6%、外国株式が(MSCI KOKUSAI, MSCI ACWI)が両方とも+11%となっており、時流に乗り始めたと言えます。

GPIFの年度初めの運用額は約130兆円でしたから、1%動いただけで1.3兆円です。こうした資金がじわじわと信託銀行を通して買われているようです。

 

2. 他の共済組合

国の骨格であるGPIFが「国債75%・株式25%⇒株式50%・国債50%」に転換したことを受けて、他の共済組合も運用方針を転換します(2/26 日経新聞)。

国家公務員共済組合(資金 7.6兆円)、地方公務員共済組合(資金 18.9兆円)、私立学校共済組合(資金3.8兆円)の3資金合計約30兆円をGPIF方式で活用すると5.1兆円が出てくるそうです。

そして、もう一つ注目すべき点は、GPIFや共済の資金は売り買いが頻繁にないことです。長期分散投資を基本にしている為です。         ※共済年金は平成2710月から、被用者年金制度として厚生年金に一元化されます。

 

3. 投資機関と4資産分散効果

今回論点の中で最も大切なポイントはここです。

資産運用は短期より長期が良いと言いますが、どの程度保有していれば良いのか、先日あるFPフォーラムで配布された資料の中に参考になるものがありました。国内株式、国内債券、外国株式、外国債券を25%ずつ保有して毎月末にリバランスしていったとして、結果を評価するものです。期間は1970年から2014年までの44年間。

① 1年  1年間投資して元本を割った回数:44回中14

② 5年  5年間投資して元本を割った回数:40回中 4

10 10年間投資して元本を割った回数:35回中 0

この期間中には1987年のブラックマンデーも、2008年のリーマンショックも入っています。こうした大幅下落も長期保有は乗り越えて均してくれます。一般的には7年保有でほぼ赤字は解消する見込みと言われています。

日本の国債利率の低さでも25%保有をするべきか否かは、顧客の年齢や資金余裕度によって変動があって良いでしょう。年金生活者や資金の余裕のない人にとっては、市場リスクや為替リスクの大きい外国物や株式より、利率が低くても日本国債の割合を多くするなど資産安定型の方をお勧めします。

 

株式会社コバヤシアセットマネージメント代表   

小林 治行(CFP・1級FP技能士)   

関連サイト

代表・井畑敏の執筆本

お問い合わせフォーム

メモ: * は入力必須項目です

Moneyjoho Twitter