住宅資金設計のツボ

繰り上げ返済のしくみとメリット

Q 預貯金の金利があまりにも低いので、住宅ローンの一部を繰り上げたいと思います。繰り上げのしくみやその効果を教えてください。
A 低金利時、デフレ時には、預貯金で運用するよりもローンの操り上げ返済をするほうが効果的な場合があります。

そこで一般的に行われるのが「一部操り上げ返済」です。これは、定められた毎回の返済スケジュールによらず、任意でローンの元金の一部分を返済することです。

種類は次の2つがあります。効果が高いのは期間短縮型です。

●「期間短縮型」・・・現在の返済額はそのままにして、残りの返済期間を短くする方法
●「返済額軽減型」・・・残りの返済期間は変更せずに、毎回の返済額を軽減する方法

「期間短縮型」の繰り上げ返済の場合、短縮される期間や利息の軽減額は、ローンの償還予定表があれば自分でおおよそ把握することができます。 その手順は以下の通りです。

1. 繰り上げ時点のローン残高を償還予定表からチェックする 
2. 繰り上げ返済の額を決める 
3. 繰り上げ後のローン残高を計算する(1-2)。 
4. 償還予定表から、ローン残高が3の金額になる時期を見つける 

つまり、4のあたりまで返済が飛び、その間の、返済期間が短縮されることになります。

また、トータルでどのくらいの利息が軽減されるかを知るためには、この間のローン返済額を計算して、その金額から繰り上げ額を差し引けば計算できます。この金額が、短縮される期間で支払うはずたった利息です。
ポイント
● 一部繰上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つのタイプがある 
● 内入れした金額は、元金の返済に充当されるため、その部分に対する利息が軽減される 
● 繰り上げ返済をする時期が早ければ早いほど、その効果は高い 
● 「返済額軽減型」の操り上げ返済は、どうしても家計が苦しいしいときの緊急避難的な方法として考えたい。 
● 「返済額軽減型」の繰り上げ返済では、繰り上げ後のローン残高、その時点での適用金利、残りの返済期間、の3つの要素から、繰り上げ後の新たな返済額が再計算されるが、変動金利型の場合、繰り上げ時の金利水準によっては、返済額がほとんど減らない場合 があるため要注意。 

 

住宅ローンの借り換えとは?

Q 住宅ローンの借り換えを検討しています。ポイントと注意点を教えてください。
A 「ローンの借り換え」とは、現在返済しているローンを一括返済して、別の機関からの新たに借り入れることをいいます。借り換え後は、新規に借りたローンの返済を行うことになるため、高金利時代に借りたローンを現在の低金利ローンに借り換えることができれば、かなりの効果が期待できます。

ただし、借り換えにあたっては、ローン保証料や抵当権の設定費用などで、一般に数十万円もの諸経費がかかるため、借り換えが常に有効かどうかは一概にはいえません。

この場合、1借り換え前後の金利差が1%以上あるか、2ローン残高が500万円以上残っているか、3残りの返済期間が10年以上あるかという3つの基準をすべてクリアしているかどうかが、借り換え効果があるかどうかの大まかな判断基準です。

借り換えにあたっては、年金融資などの公的融資は利用できないため、民間住宅ローンを利用することになります。金利差が1%以上あっても、固定金利から変動金利への借り換えだと、将来的な金利変動によっては借り換えしないほうがよかったということにもなりかねません。

このような場合は、借り換え後の返済期間によっても異なりますが、1.5%~2%以上の金利差があるかで判断したいところです。

現在は、担保割れの状態でも過去の返済歴や収入基準などの一定条件をクリアすれば、借り換えに応じてくれる金融機関が増えています。上記の目安を参考に、依然高い金利のまま借りている場合は、検討する価値があります。
ポイント
● 借り換えには費用がかかるため、以下の条件を目安に検討する。
 1借り換え前後の金利差が1%以上ある。
 2ローン残高が500万円以上残っている。
 3残りの返済期間が10年以上ある。 
● 借り換え後のローンは、なるべく返済期間を短くしておくのがよい。 
● ステップ(ゆとり)返済のローンを優先する 

 

住宅ローン返済計画の立て方とポイントは?

Q 住宅ローンの上手な返済計画の立て方を教えて下さい
A 住宅ローンの返済計画を立てる場合、まず、どのローンを利用できるかを把握した上で、借入先やローンの種類、返済方法、返済期間などを設定することが必要です。年金融資といった公的融資が利用できるならまずそれを優先し、足りない部分を民間住宅ローンで補うのが、基本的な考え方になります。

金利の種類は、金利が低いときには固定金利、高金利時代には変動金利を利用するのが原則。変動金利型の方が金利水準が低いのが一般的ですが、住宅ローンは長期にわたって返済が続くため、将来的な金利上昇リスクを考慮しなければなりません。

具体的な返済計画を立てるには、毎年の返済額のほかに、住宅ローンの返済額以外の住居費、例えば、個定資産税等の保有税、管理費・修繕積立金(マンションの場合)、団体信用生命保険料などなどを見積もり、それらを含めて長期にわたり返済できるかどうか検討することが重要です。

また、以前は返済期間は長ければいいという考え方がありましたが、昔のようにインフレで借金が目減りした時代ならともかく、現在のようなデフレの時代は、着実にローン残高を減らすためにも、ムリのない程度に短く組むのが無難だといえます。

できれば給与収入があるうちに住宅ローンの返済が終了すれば、退職金を老後の生活資金に充てることができ、理想的といえます。
ポイント
● 年間の手取り収入を把握し、安心して返済できる金額を算出する。 
● 低金利時には固定金利、高金利時には変動金利を利用するのが原則。 
● ボーナス払いに比重を置くのは危険。 
● 退職金はあてにせずに定年までに完済できるローンを組む 
● 借入れ後の条件変更(繰り上げ返済、期間短縮等)のしやすさも念頭に置いた上で、利 用するローンを選んでおきたい。 

 

借入可能額の算出方法と返済額の目安は?

Q マイホームを購入したいと考えています。住宅ローンはどの程度まで借りられるのですか?
A 住宅ローンの借入れにあたっては、それぞれのローンごとに「融資限度額」が設定されています。ただし、他のローンも含めて、購入する物件価格の8割を上限とするのが一般的であるため、残りの2割と諸経費は別途、貯蓄などで準備する必要があります。
最近は、提携ローンなどで物件価格の90%程度まで利用できる場合もありますが、借りられるからといって安易に借りすぎるのは危険です。

住宅ローンが実際にいくら借りられるかというと、「融資限度額」を上限として、利用者の年収によって利用額が決まります。
たとえば収入基準が40%である場合、利用者の年収が500万円であれば、「500万円×40%=200万円」が年間返済額の上限となります。融資限度額以内、かつ、この基準を満たす範囲で、実際の融資額が決まるわけです。

この場合、一般的にはすべてのローンを含めて計算しますが、住宅金融公庫融資など、他のローンを除いて単独で収入基準を判定するものもあります。

返済額の目安は年収の25%以内と一般に言われていますが、これはあくまでも目安にすぎません。実際には、個々の事情(ライフプラン、収入予定、資産内容など)によって異なります。 詳しく調べたい人はファイナンシャルプランナーに依頼されるとよいでしょう。
ポイント
● 融資限度額は、原則として物件価格の8割まで。 
● 実際の融資額については「収入基準」を満たす範囲内で利用できる。 
● 収入基準は、前年の年収を基に判定される。公的融資には収入合算制度があり、民間住宅ローンは個人単位で判定されるのが基本。 
● 公的融資は毎月返済額の4倍から5倍程度の月収が必要である。 
● 民間の場合、他のローンを含め年間返済額が年収の35%~40%程度が必要。 
● 「いくら借りられるか」ではなく「いくら返せるか」が重要 

 

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